仕事の影響でうつ病にかかってしまった場合、復職してもまた再発する可能性があります。
そのため、うつ病が理由で転職をしたいと考える人もいるでしょう。
しかし、いざ転職活動を始めようと思うと、
- うつ病が理由での転職と応募先にばれたら採用されないのでは?
- うつ病を隠して転職活動をしたいけど、あとからばれるのでは?
とさまざまな不安を感じてしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、うつ病を隠す転職活動についてや、応募企業にうつ病を申告する場合について、うつ病が理由で転職した経験のある人の実体験をご紹介します。
Contents
うつ病になったら転職活動をする前にまず休養を!
うつ病で転職を考える場合は、どのくらいで転職活動を始めるべきなのでしょうか。
また、休職中に転職活動ができるかどうかもご説明します。
うつ病の症状がどのくらい落ち着いたら転職活動ができる?
うつ病と診断されてから転職を考える場合、まずは転職活動よりも治療に専念しましょう。
目安としては、完治はしていなくても症状がおさまっている「寛解(かんかい)」の状態を目指してください。
この状態であれば、普通の生活ができるレベルですので、問題なく転職活動も可能でしょう。
また、うつ病で通院している病院の主治医にも転職活動が可能か確認して、許可が出てから始めるようにしてください。
うつ病の症状がおさまっていないうちから転職活動を始めてしまうと、症状が悪化してしまう可能性があり、さらに休養が必要となる場合があるからです。
うつ病で休職や退職をするなら傷病手当の申請を
長く休職したり退職をする場合は、傷病手当を受給すると金銭面での不安が減り、治療に専念しやすくなります。
ケガや病気で休職しなければならない場合に給料の3分の2が受給できる制度で、
- 療養が必要で仕事を休まなければならない
- 4日以上欠勤している
- 休職中に給与の支払いがない
- 業務外のケガや病気で療養している
このような条件を満たせば受給が可能です。
ただし、退職をする場合は
- 健康保険の加入が退職日までに継続して1年以上
- 退職時に傷病手当を受給しているか、受給できる状態であったか
という条件があるので気をつけましょう。
うつでの休職中に転職活動をしても問題ない?
休職中にうつ症状が落ち着いたときに、「今のうちに転職活動を」と考える人もいるでしょう。
休職中に転職活動はできますが、あまりオススメできません。
なぜかというと、休職は復職を前提としているため、休職中に転職活動をおこなうことは倫理観が問われてしまうことなのです。
今いる会社に休職中の転職活動がばれると、退職時にトラブルが起きることもあるので気をつけましょう。
ただし、応募先の企業に休職しながら転職活動をしていることは、ばれることはほぼありません。
もしも、休職中に転職活動をしないといけない状況なのであれば、在籍中の会社にばれないように細心の注意を払いましょう。
転職活動でうつ病がばれたくない場合は?
うつ病がばれないように転職活動をする場合についてご説明します。
面接で退職理由を聞かれたら正直に「うつ病」と言わなくてはいけない?
面接で退職理由を聞かれることはよくあります。
うつ病と正直に答えなくても、退職理由を前向きな理由に置き換えたり、キャリアチェンジを理由にすることで嘘をつかずに自然な回答ができるでしょう。
例えば、
- 人間関係の悪さに疲れた…周囲と意思疎通を取りながら、チームで団結しながら働きたい
- ノルマに追われたくない…顧客と信頼関係を築き、長く取引ができる仕事がしたい
- 残業が多すぎる…効率的に仕事をすることで、より高い成果を上げたい
など、うまく言い換えられるように、考えてみてください。
面接で休職したことがあるか聞かれたら
まれに面接で休職したことがあるかを問われることがあります。
面接で嘘をつくことはオススメできません。
そのため、「うつ病」と病名を言う必要はありませんが、「体調を崩して休職していた」など説明をした方がいいでしょう。
前職調査でうつ病がばれる?
転職前の会社に応募者の経歴や勤務態度について問い合わせる前職調査。
最近では、個人情報保護法の影響により個人情報を漏らすことができないため、前職調査をおこなう企業はほとんどありません。
そのため、うつ病での休職などが前職調査によってばれてしまうことはほぼありません。
転職活動中にうつ病がばれたくないなら慎重に!
転職活動をおこなう上で、こちらからうつ病の話しをしなければ、ばれることはありません。
しかし、最近ではSNSをチェックする企業も増えており、SNSの不用意な発言からばれてしまうこともあります。
もし、うつ病を隠して転職活動がしたいのであれば、SNSでも注意をしておきましょう。
転職後にうつ病での休職がばれる可能性はある
うつ病を隠し通して転職をした場合、源泉徴収票や離職票から休職していたことがばれる可能性はあります。
どちらも1年間の給与総額が記載されており、休職をしていたことで給与額が下がってしまうからです。
また、住民税も前年の所得額に応じて金額が変動するため、長期間休職をしていた場合は税額の少なさから疑問を抱かれることもあるでしょう。
また、転職前に傷病手当を受給していた場合、転職先でうつが再発したときに再度傷病手当を申請すると、手続きのために過去の受給歴が照会されるため、休職していたことがばれます。
応募企業にうつ病を申告する場合は?
うつ病になったことを転職活動で伝えるのも、もちろん問題ありません。
では、どのようにうつ病を伝えればいいのでしょうか。
うつ病と伝えると採用されなくなる?
うつ病を伝えた場合、やはり不利にはなってしまいます。
同程度の能力で、
- 心身ともに健康な応募者
- うつ病になった応募者
どちらを選ぶかというと、どの会社も前者を選ぶでしょう。
それではうつ病を絶対に隠した方がいいと感じるかもしれませんが、うつ病になったことを伝えることで、採用されれば理解が得られる可能性が高いというメリットもあります。
退職理由を聞かれたらうつ病になった「理由」を答えて
退職理由を聞かれたときに「うつ病になったので退職しました」では印象がよくありません。
病名を言うだけでは「なぜそのような状態になってしまったか」が伝わらないため、うつ病になった理由の方をメインに説明しましょう。
そうすることで、「自社ではそのような働き方はさせないから、入社後同じようにうつで休まれることはないだろう」という安心感を与えることができるからです。
みんなはどうしてる?うつ病が理由で転職した人の実体験
今回、クラウドソーシングサービスで「うつ病が理由で転職をした人」にアンケートをおこないました。
アンケートでは、
- 転職活動をしたタイミング
- うつ病を隠して転職活動をしたか
- うつ病を申告したメリット
- うつ病を隠して転職したあと、ばれることはあったか
このような質問をしました。
うつ病を患い、どのように転職活動をしていくべきなのか悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてみてください。
転職活動を始めたタイミングはいつ?
転職活動を始めたタイミングを質問したところ、退職してから転職活動を始めたという方が8割以上でした。
会社が理由でうつ病になり、転職を考えられない状態で退職をしていたり、会社が休職の申し出に応じてくれなかったなどの理由があるのではないでしょうか。
また、復職するのは考えられないと感じて退職をしてから転職活動をおこなった人もいるでしょう。
うつ病を隠して転職活動をした?それとも申告した?
この質問では9割近くの人が「うつを隠して転職活動をした」と回答しました。
それぞれの理由は以下の通りです。
〈うつ病を隠した理由〉
- 退職したあと、しばらく心身ともにリラックスした状態で過ごしたおかげで元気になり、完治したと感じていたのでうつ病だったことは話しませんでした。
- 保守的な業種で、オープンにすると採用されないことが確実なため隠しました。
- 鬱というだけで採用される確率が大幅に下がると経験者から聞いたため、こちらからは言いませんでした。
- 会社側に鬱だと知られると雇ってもらえないと思ったからです。
あと、鬱をオープンにしたら採用後もそのような目で見られるし、私自身も仕事がしづらくなると思ったからです。
〈うつ病を申告した理由〉
- 入社後に知られるよりは、先に伝えて症状を理解したうえで受け入れてほしかったからです。
- うつ病を隠して転職した場合に、もしも症状が再燃した場合等で職場に迷惑がかかる可能性や、自分の為にもオープンにした方が良いと判断した為です。
転職後の状況について
転職後に、
- うつ病を隠して入社し、その後ばれたかどうか
- うつ病を申告して得られたメリット
についての回答をご紹介します。
〈入社後にうつ病のことがばれた?〉
- 転職後にばれることはありませんでした。
傷病手当などもらっていましたが、転職先には特にみつかりませんでした。
- 転職後に、仕事で作業が困難な場面になるときが多く、上司にのみ打ち明けましたが、他の人にはばれていません。
- 同業に転職したので社員同士の繋がりがあり、転職先にばれてしまいました。
〈うつ病を申告して得られたメリットは?〉
- 先に症状を伝えていたことによって、うつ病の私を受け入れてくれる気持ちでいてくれた社員が多く、勤務がとてもしやすく同僚にも隠さなくてよい分なんでも相談し易かったです。
- 転職活動中など、面接の際に面接官からどのような配慮等が必要か等、具体的な対策や、現状の症状などをしっかり話すことができたので良かったです。
うつ病で転職をする場合のタイミングごとのメリットとデメリット
うつ病で転職をするタイミングは
- 休職中
- 復職後
- 退職後
の3つです。
それぞれのタイミングにメリットデメリットがありますので、どのタイミングが良さそうか考えてみましょう。
休職中に転職活動をする場合
〈メリット〉
- 転職活動に集中しやすい
- 転職ができなくても復職できる
〈デメリット〉
- 休職中の転職活動がばれると、解雇や内定取消のリスクがある
復職後に転職活動をする場合
〈メリット〉
- 復職しているため通常と同様の転職活動ができる
- 金銭面での不安を感じずに転職活動ができる
〈デメリット〉
- 転職活動をする時間が限られる
- 仕事と転職活動を同時におこなうため、ストレスになる可能性がある
退職後に転職活動をする場合
〈メリット〉
- 転職活動に集中しやすい
〈デメリット〉
- 離職期間が長いと企業の印象が悪くなる可能性がある
- 金銭面で不安を感じる可能性がある
まとめ:うつ病で転職活動をするなら隠すのか申告するのかを考えて
うつ病が理由で転職活動をする場合、うつ病のことを申告するのかどうかによって準備も変わります。
隠す場合は、うつ病という理由で不採用になることはなくなりますが、面接で休職理由について聞かれたりする可能性もあり、嘘をついた場合ばれてしまわないか後々まで不安になるというデメリットがあり、申告する場合は、理解が得られやすくなる半面、採用される確立を下げてしまうというデメリットがあります。
どちらにしても、企業への伝え方ひとつで大きく印象が変わったり、嘘をつく必要がなくなるため、面接で印象がよくなるように伝えるためにはどのような言い回しがいいのかを考えましょう。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。