あなたは、どんな時に、どんなことで仕事にやりがいを感じますか?
- 今よりもっと給料を貰えたら
- もっと自分の裁量で動けたら
- 誰かに褒められたり、感謝をして貰えたら
- もっと自分を必要とされたら
- 家庭やプライベートの時間と両立して働けたら
人によって仕事に「やりがい」を感じるポイントはそれぞれです。
私は「ここでならやりがいを感じて働けそう」と思って入社した会社を、「やりがい」を感じなくなってしまったことを理由に転職した経験があります。
入社をした当初は、確かにやりがいを感じて仕事をしていました。
しかし、一度は「やりがい」を感じたにも関わらず、時間が経ったら感じなくなったのはなぜでしょうか?
それは、「やりがい」は感じなくなるものではなく、段階があるものだったからです。
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「やりがい」を感じることとは
転職理由に多く挙げられる「やりがいを感じなくなってきた」ですが、そのままの意味で受け取るとネガティブな印象を受けます。
確かに、今のままでは物足りないや不満の気持ちが含まれていることが多いのも事実です。
でも、それは裏を返せば、もっとこうなりたいという「欲求」の現れとも言えます。
欲求には段階がある
私たち人間には、5段階の欲求があるとされています。
マズローの欲求5段階説について
心理学者「アブラハム・マズロー」によって説かれた欲求に関する理論によると、私たち人間は、今の欲求が満たされると次の段階の欲求を欲するようになるとされています。
その欲求は、大きく5つあります。
1.生理的欲求
生きる上で欠かせない根源的な「食べたい」「眠りたい」「飲みたい」という欲求です。
2.安全の欲求
生きることへの欲求が満たされると、次に自分の「身体を守りたい」「置かれている環境を維持したい」「守られた状態でいたい」という欲求が現れます。
3.社会的欲求
安全に生きられることへの欲求が満たされると、次に現れるのが「仲間が欲しい」「誰かの特別な存在になりたい」「必要とされたい」という欲求です。
4.承認欲求
安全に生きられることや社会で必要とされている欲求が満たされると次に「自分には価値がある」「尊敬をされたい」「認められたい」という欲求が現れます。
この承認欲求には、”自分で自分を評価すること”と”他人から評価されること”があります。
5.自己実現の欲求
そして、最後は「自分の持っている能力や可能性を最大限に引き出して、発揮したい」という欲求です。
この5つの欲求は基本的に1番から順番に現れて、今ある欲求が満たされると次の欲求が現れるとされています。
しかし、人によって欲求の「重要度」は必ずしもこの順番通りではありませんので、欲求を見極める際には注意が必要です。
仕事における「やりがい」を、欲求5段階説で考えてみる
例えば、仕事における「やりがい」を、マズローの欲求5段階説を活かして考えるとこうなります。
- 生活をするのに困らない年収が貰える仕事に就きたい=生理的欲求
- 残業がなく、定時に帰れて、プライベートとのバランスが取りたい=安全の欲求
- 誰かに必要とされたり、感謝をされたい=社会的欲求
- 有名企業に勤めたり、重要な役職に就いたりして尊敬されたい=承認欲求(他者)大きな仕事をして成功したい=承認欲求(自己)
- 自分にしかできないことで、誰かの役に立つことがしたい=自己実現の欲求
やりがいを感じなくなってきたら、成長のサイン
欲求5段階説を説くにあたって、マズローはこのように仮定しています。
「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである。」
つまり、あなたがもし今の仕事に「やりがい」を感じなくなってきたのなら、それは次の欲求の現れかもしれません。
注意!「年収を上げたい」は、欲求の本質ではない
「やりがいを感じない」という漠然とした言葉の中に時として、もっと年収を上げたいという思いが込まれる場合があります。
しかし、年収を上げたい(もっとお金が欲しい)という思いは「欲求」の本質ではありません。
お金は、欲求を満たすための手段です。
なので、目的である「お金が手に入ることでどうなれるのか」を考えると、自分の本当の欲求を理解することができます。
- 「お金があることで、お腹いっぱい食べられる」=心理的欲求
- 「お金があることで、ちゃんと家に住めて生活ができる」=安全の欲求
- 「お金があることで、友人や恋人と付き合いができる」=社会的欲求
- 「お金があることで、他の人から羨ましがられる」=承認欲求
5つの欲求は、2タイプに分かれている
マズローが説いた欲求5段階説ですが、その5つの欲求はさらに大きく2つのタイプに分けることができます。
欠乏欲求(低次欲求)
欠乏欲求は、足りないと感じていると不満が生まれる欲求です。
そして、満足ができない状態が続くと「病気」になります。
生理的欲求・安全の欲求・社会的欲求・承認欲求がこれにあたります。
睡眠が足りない、生活への不安、孤立している状態が続くなど「うつ病」になってしまうのもこのタイプの欲求が足りていない例です。
成長欲求(高次欲求)
欠乏欲求が満たされると向かうのが、成長欲求です。
欠乏欲求はある程度満たされると飽きて忘れられますが、成長欲求はある程度満たされても満足ができないものです。
さらなる「成長」を求めて、自己実現を追求し続けます。
やりがいがある仕事とは、絶えず「成長」ができること
マズローの欲求5段階説から、今ある欲求が満たされると次の欲求が現れるように、やりがいも今感じているものが満たされれば、次のやりがいを求めることになるということです。
そもそも仕事とは、生きる上で自然に持つ欲求を「満たすための手段」です。
人は生きるために仕事をしているけど、仕事のために生きている訳ではないですよね。
なので、人によって段階は違えど「やりがいのある仕事」とは次の段階、そして自己実現へ向けて絶えず成長ができることです。
やりがいを感じないなら、転職することも選択肢
承認欲求までの欠乏欲求は他人からの評価であり、環境に依存する欲求となるため、それを満たせるのは自分以外の人のみとなります。
つまり、自分ではコントロールができないことです。
自分でコントロールできないことは、いくら悩んでも仕方がありません。
コントロールができないということは、自分では解決ができないということです。
なので、今の仕事や職場でその改善や成長が見込めないのならば、転職をすることも選択肢です。
一方、自己実現の欲求=成長欲求は、自分で自分を満足させることができることです。
この段階にいる人は、自分のやりたいこと・できることが分かっていて、さらに転職はそれを叶えるための手段であることも理解しています。
なので、企業に属すことで満たされていれば属すし、これ以上自己実現できないと感じたら、いざという時には独立も選択肢にあったり、あるいは実際に独立しちゃうような人です。
まとめ
私が初めて転職を選択した時に強く感じたのは、承認欲求でした。
贅沢をしなければ生活をするのに困らない年収は貰えていましたし、忙しかったけどプライベートを楽しむ余裕もありました。
志を一緒にする仲間もいましたし、仕事が評価されて年齢の割には役職も与えられていました。
でも、それでも私は満足することができませんでした。
承認欲求には、他者からの評価と自己の評価があります。そのとき、私が不安に感じていたのは自己の評価です。
「ここでは、評価されているけど自分のこの評価は、この環境でなくても果たして評価されるものであるのか。」
承認欲求までの欠乏欲求を満たせるのは自分以外の人です。さらにこの欲求では、そもそも同じ環境にいて答えがでることではなかったので、私は転職を選択しました。
やりがいとは欲求であり、欲求の本質を理解すると自分にとってのやりがいのある仕事とは何であるのか分かるようになり、目標を立てたり、行動を選択できるようになります。
自分にとってやりがいのある仕事が何か分からなくなったときは、自分の「欲求」を自問自答してみてください。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。