働き方改革を国が掲げてから早数年。
昨今では、大小を問わず、様々なジャンルの企業が人事を筆頭にして働き方改革を推進しようと取り組んでいます。
あなたの仕事量は減りましたか?
働き方改革とはつまるところ、「効率的に仕事をして仕事時間を減らす」こと。
しかし、現場社員を中心に「改革を進めても仕事が減らない」と言う声が溢れているのが実際のところなのです。
ではどうして、仕事が減らなのでしょうか?
それは、とても単純な理由にありました。
Contents
仕事が減らないのは、○○のせい
仕事が減らないのは、企業というものが成長すべき組織だから
冒頭からそもそも論で申し訳ないのですが、仕事が減らない最も大きな理由は、企業と呼ばれるものが成長を目指して日々、事業活動を営む組織であることに他なりません。
日々、売上や利益のアップが課題として掲げられますし、優秀な社員であればあるほどその意識を強く抱きながら業務に取り組んでいるでしょう。
目の前に利益を生む仕事があれば、多くのビジネスマンがその仕事に飛びつくでしょう。
例え利益を生むか不透明であっても、生む可能性を感じればそのチャンスを物にしようと試行錯誤を始めるはずです。
このように企業の成長と仕事量を減らすことは、根本的な部分で相反しているわけです。
まずは、非常に基本的であるものの忘れてしまいがちなこの特徴を覚えておく必要があります。
社会環境の影響
一昔前に比べると会社が守らなければならない“ルール”が圧倒的に増えています。
以下は、近年企業へ管理が義務化されていることの多い社会的ルールの一例です。
・ガバナンス
本来は「統治」という意味を持つ英単語。
日本ではコーポレートガバナンスの意味で使われることが多く、企業の不祥事が相次いだ背景を受けて企業倫理が問われたことでルール化が始まりました。
他にも、効率経営や株式投資へのリターンの低迷などで株主の軽視が問題化されたことも背景としてあげられるでしょう。
・プライバシー保護
一昔前は概念すら存在しなかったプライバシーの保護。
直接企業利益と結びつくことは少ないものの、利益を生み出すためには準備が不可欠なルールでもあります。
また、プライバシーの管理や保護が煩雑すぎるために事業をスムーズに拡大するための壁となっているのも事実。
まさしく、仕事のための仕事と言えるわけですが、人員やコストを大きく咲かなければならない現代のルールの1つと言えるでしょう。
・情報セキュリティー
近年急速に進むデジタル化を背景に、情報セキュリティーのためのルールが非常に厳しくなっています。
このルール化には人員やコストがかかるだけでなく、高度な専門知識を要するのが大きな特徴です。
新たな人員を募集したりチームを作るなどして対策を取らなければならない会社も多いでしょう。
今後も多様化・煩雑化することが予測される、まさしく“仕事が減らない”理由の1つとなり得る分野です。
働き手不足
そう遠くない未来に、日本の人口は約半数が高齢者となるのをご存知でしょうか?
現在の日本は、日本史に類を見ないレベルの超高齢化社会へと突き進んでいます。
超高齢化社会とは言い換えれば、働く世代の不足を意味することはご存知の通り。
そしてはやマクロな課題ではなく自社レベルにまで迫っている、現実に直面した緊急課題なのです。
事業成長を進める企業の本質と共に増えていく仕事量。
それとは反して働き手が不足しているのですから、一人当たりにかかる仕事量は増加せざるを得ません。
現場の声から知る「仕事が減らない理由」
ここまでは大きな意味でとらえた仕事が減らない理由をご紹介しました。
続いては、リアルな現場の声として多く上がる仕事が減らない理由をご紹介します。
・繁忙期など一過性のもの
まず考えられるのは、所属している企業が迎える繁忙期による忙しさです。
多くの企業が月末や四半期末、年度末などにいっときの忙しさを経験するでしょう。
その長さや程度は企業によってまちまちですが、「繁忙期が来るのが怖い」と爆発的に増加する仕事量に戦々恐々としている現場社員が多いようです。
・会社の風土
これほどまでに働き方改革の声が強まっている昨今ですら、「定時に帰るなんてあり得ない」「残業は当たり前」と言う会社の風土が色濃く残っている企業があるのも事実。
中には、自分は仕事が終わっているのに忙しい人に気を使って“なんとなく”会社に残っていると言う人も散見されるのですから、驚きです。
実際に仕事量が増えていなくても、“残業”と称して体を会社に拘束されていては、仕事に対するストレスを感じざるを得ないでしょう。
・お客様対応のため
海外に一歩出てみると、日本に根強くはびこる「お客様第一主義」に気付かされます。
アメリカなどでは、スーパーの店員さんですらお客さんに丁寧に接することはありません。
「お金を払ってもらう代わりにちゃんと商品を提供している!」とスマイル対応や挨拶はほとんどありません。
もちろん個人差はありますが、それだけフェアな精神が根付いている証拠だとも言えるでしょう。
一方の日本では、「お客様は神様」と言わんばかりに、お客様からの強い要望があれば、残業でも休日出勤でも対応しなければならない事態が散見されます。
要望のままに動いていると、仕事量が莫大に膨れ上がる危険性もあるでしょう。
仕事量を減らす方法
では、仕事量を減らすにはどうすればいいのでしょうか?
その方法は大きく2つあるとされています。
1:作業スピードの高速化
最も手軽でわかりやすく仕事量を減らす方法がこちらです。
具体的には、これまで手作業で行っていた仕事の機械化や事務作業であればエクセルの関数やマクロを覚えて集計作業を高速化する方法です。
操作方法や知識を得れば誰もが作業スピードを上げることができるので、多くの会社で導入が進んでいます。
しかし、作業の高速化で時間に空きができるとまたさらに新たな仕事が入り込んで来る点に、大きな落とし穴があるでしょう。
忘れてはならないのが、企業は事業成長を求め続ける体質があると言うことです。
2:作業内容の見直し
各企業には必ず、組織が独自に構築している仕事や業務のプロセスが存在します。
「この会議、私の出席必要?」とか「誰でもできる仕事ずっとしているな」と感じることはありませんか?
作業内容を見直すと、不要な業務や外注できる業務が見えて来るもの。
これまで続けている仕事をやめるためには、チームメンバーや上司、もしくは会社の決済が必要な場合がほとんどです。
そのためには非常な労力や“止めるための時間”がさらに必要になることもあります。
しかし、一旦止めると決めてしまえば、仕事時間に大きな空きが生まれます。
それに、作業この高速化と比較すると、「自分の手から仕事をなくす」と言うスキルを身につけられるため、定期的に作業を見直し不要作業の切り捨てを習慣化することができるのです。
作業の外注化も基本的には同様の考え方ですが、こちらはコストがかかるため作業を無くしてしまうことよりも導入に労力や時間を要すると考えられるでしょう。
仕事を減らすことにも大きなハードルがある
仕事を減らすことにも、実は大きなハードルが隠れています。
後半でご紹介した2つの方法にも、それぞれにメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたでしょうか。
働き方改革が進められていても、根本的に企業は事業成長を求め続けるものです。
仕事を減らすというのは、その目的とある意味、相反する部分もあります。
その中で仕事をバランスよく減らしていくには、1日の作業内容を冷静に分析し、自分が本当にやりたいこととすべきことを見極める力が不可欠でしょう。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。