仕事に行き詰まることはどんなビジネスマンにもありますが、“トラウマ”と呼ばれるほどの経験をする人も中には存在します。
今回は、そんな仕事でトラウマを抱えた人の体験談をもとに、克服し自分らしく働き直すための方法をご紹介します。
Contents
仕事のトラウマ体験談
まずは、職場でトラウマ体験をしたと言う人の体験談を確認することで、仕事でのトラウマの実態を把握します。
同僚からのストーカー被害を受けた女性
この女性は、年配の同僚社員からいきなり「デートしよう」と誘われ、拒否をします。
それ以来スタートした車でのストーカー行為がトラウマ経験だったと語ります。
「最初は着いてこられることに「こわい(笑)」くらいで、全然余裕でした。
しかし途中から、「あれ?家まで着いてくるの?」「車降りた途端襲われたらどうしよう」と、周りをよく見まわすように。
上司に相談して、もしまた着けられたら警察署へ行くようにと言われたので実行しました。
その時点でAさんは帰っていったので、一定の効果はあったのかなと。
Aさんは病気をされていて、言葉をはっきり話せない以外に速い歩行も困難でした。
いつ見ても足を引きずって歩いていたので、もちろん走れないと思います。
そんなAさんに付きまとわれてだいぶ憔悴していた私は、トラウマとしか形容できない状況に出くわします。
「お先に失礼します」と挨拶をしてタイムカードを押して、出口に向かうため階段を降りていたある日、後ろからトントントンと階段を降りる、それも割と速いテンポの足音が聞こえてきたのです。
とにかく怖くてだーっと階段を駆け降りて外に出た段階で後ろを振り返ると、そこには誰もいませんでした。
冷静に考えれば足を引きづっているAさんが階段を速いスピードで降りることは不可能なのですが、そんな判断もつけられない心理状態になっていたのです。」
同僚からつきまとわられると言う行為を経験し、職場内でも安心して過ごすことができなくなっていく様子が伺えます。
これでは仕事に集中することも困難になるでしょう。
税理士事務所でパワハラを経験した男性
男性は、税理士試験に合格し本採用までの期間にある事務所でバイトをしていました。
その先の所長からトラウマ経験をしたと語ります。
「税理士事務所でバイトをしていた所長がパワハラ野郎でした。
一度スイッチが入ったら「お前はなんでそんなこともできないんだ!」「全く向いてない!」と大きな声で怒鳴ります。
もちろん事務所の空気も悪くなるし、次は自分の番か?とみんな手に汗を握る思いです。
自分の仕事の成果を所長に報告する日が来ると、前夜から寝ずに抜け漏れがないかチェックを繰り返します。
徹底的にやったと思っても、必ず罵倒されるのです。
いつからか、仕事へ行くのが辛くなり自分を責めるような心理状態が続きました。
このままではおかしくなってしまうと、早々に事務所を辞める決断をしました。」
怒鳴られることへの恐怖心や実際に罵倒されたことで大きなトラウマを抱えていく様子が伺えます。
幸いにもバイト期間中だったため、就職前に職場状況を見極めることができましたが、それでもこれから働く税理士事務所という場所に、トラウマを抱えることになったのは否めません。
仕事のトラウマとは?
そもそもトラウマとは?
トラウマを医学的な用語で言い換えると「PTSD(心的外傷後ストレス障害Post-Traumatic Stress Disorder)」となります。
耳にされたことのある方は多いでしょう。
正確な定義は、以下のとおり。
「米国精神医学会診断統計マニュアル第5版(DSM-5)の基準によれば、PTSD(心的外傷後ストレス障害Post-Traumatic Stress Disorder)とは、実際にまたは危うく死ぬ、深刻な怪我を負う、性的暴力など、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験に晒されたことで生じる、特徴的なストレス症状群のことをさします。出来事の例としては、災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などが挙げられます。そのような出来事に他人が巻き込まれるのを目撃することや、家族や親しい者が巻き込まれたのを知ることもトラウマ体験となります。また災害救援者の体験もトラウマと成り得ます。」
引用元:http://www.jstss.org/topics/01/
死に至るような危険な目に遭ったり、性暴力や精神的な暴力を含む暴力行為の危険にさらされた際に、その記憶がトラウマとなりPTSDを抱えることになります。
昨今続く大災害や不意の事故などもPTSDを発症する原因となりうるため、トラウマを抱える危険性はすべての人にあると言えるでしょう。
また、直接自分がトラブルに巻き込まれていなくとも、親しい存在がトラブルを経験したり命を落としたことでもトラウマを抱えることがあります。
トラウマの主な症状は?
トラウマには3つの症状があるとされています。
①再体験症状
トラウマ経験者が思い出したくないのに不意にトラウマで得た辛い体験や記憶を突然思い出す症状です。
まるでその時の経験が再度起こっているかのようなイメージを体験する人も中には含まれます。
思い出したり再体験したりするタイミングには、同じようなシーンに触れるなど具体的なきっかけがある場合も存在します。
精神が不安定になるケースが多いです。
②回避
トラウマとなった経験を思い出すことを避ける行為を指します。
よく見られるのは、トラウマを経験した場所に行くことを避けて過ごす行為。
中には、トラウマとは直接関係のない状況を避けることもあります。
例えば、海外でトラウマを経験したため以降は海外旅行を避ける、夜にトラウマを経験したことで夜間で歩くのを避けるなどです。
また、不安定な気持ちになるのを避けるため、辛い思考を感じないようにするあまり、辛さ以外の楽しさや人を愛する気持ちまでをも感じられなくなるケースも散見されます。
トラウマとなった出来事の一部を思い出せなくなるようなケースもこの「回避」に含まれます。
③過覚醒
トラウマを経験したことで、過剰な反応をすることを指します。
具体的には、驚き・焦り・震え・集中できない・イライラしやすい・不眠と言った状態です。
これは、トラウマを経験したことで世界中が危険に満ちているように感じ、心身が警戒心を解けない状態が続くためです。
実際は危険ではないにも関わらず、常にいかなる攻撃にも反応できるように準備しているため、長時間心身が不快感を感じることになります。
また、危険を感じている反応の1つに「フリーず(凍りつき)」と言う反応が挙げられます。
トラウマを受けている最中に起こるとされています。
仕事でのトラウマを克服する方法
多くのPTSDは時間とともに自然回復すると言われています。
回復をスムーズに進めるためには、安全で安心感を得られる環境に身を置き、心身を保護することです。
仕事そのものにトラウマを抱えている、もしくは仕事でトラウマを思い出すシーンがあるという場合には、即座に職場へ出向くことをストップさせなければいけません。
休職制度を設けている会社もありますので、自治体や会社のサポート窓口に一度相談してみるのも良いでしょう。
休職という判断だけでなく、部署異動など行ってもらえる可能性もあります。
そして、数ヶ月しても回復しない場合は、必ず専門家の治療サポートを受けましょう。
治療には以下の2つが挙げられます。
対処療法
薬物療法を行い、PTSDによって引き起こされる様々な心身のトラブルを薬によって治療します。
根本への療法
PTSDそのものを治す治療には、心理療法が行われます。
専門医へ受診することに抵抗がある人も多いでしょう。
しかし、意を決して受診した人の多くからは、「受診してよかった」「回復が早まった」という安堵の声が聞かれます。
大きなケガをしたら迷わず病院へ行くように、“心のケガ”とも言えるPTSDを発症し自分で対処できない場合には、専門医への受診を迷わず選択すべきだと言えます。
まとめ
仕事で抱えたトラウマは、出来れば専門家の治療サポートを受けるのが一番です。
ですが、すぐに病院へ行くという選択肢でなくとも、自治体の相談窓口や会社のサポート窓口に相談することができる人は多いでしょう。
会社によっては休職制度を使えたり、精神的な負担が少ない部署への異動を実施してくれるケースもあります。
仕事でトラウマを抱える多くの場合キャリアプランなどを考慮しがちですが、長いキャリア人生を歩むためにもまずは自分の心身の状態を健康に戻すことを最優先したいものです。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。