「転職するなら20代でしょ!」「35歳を過ぎたら転職はできない」などの噂を聞いたことがある人は多いでしょう。
よく議論される転職と年齢の関係。
真実はどこにあるのか?今回は「年齢」という視点から転職の世界を覗いてみます。
Contents
みんなは何歳で転職してる?
まずは、転職を成功させられた人の平均転職年齢をチェックしてみましょう。
大手転職サイト「doda」が転職した16万人のデータやビジネスパーソン3,000人への意識調査をもとにまとめた調査を参考にします。
2018年上期の平均年齢は「31.6歳」と30歳を超えています。
また、男性が32.4歳で女性の29.7歳を上回っている点も特徴的。
本調査で最も平均年齢が上がったのが2016年下期で、男女の平均が「32歳半ば」となっていました。
2年足らずで約1歳ほど年齢が下がった結果となっています。
一方で、調査が開始されたのが2007年下期で、当時は男女の平均年齢が「約29歳」であったことからすると、過去10年で2歳以上平均年齢が高くなっている結果です。
直近では下がった平均年齢ではありますが、大きな傾向をみると20代後半だった転職者の平均年齢が、30代前半へと上がったと捉えることができます。
徐々にではありますが、転職者の年齢は上がる傾向にあるわけです。
一方で、こちらの調査からは「転職に年齢は関係ない」と考えている人がメジャーであることも伺えます。
転職に対するあなたの考え方として、当てはまるのはどちらですか?
- 「転職に年齢は問わない」:58.6%
- 「転職できる年齢には上限があると思う」:41.4%
若干ではありますが、転職に年齢は関係ないと感じる人がそうでない人を上回っています。
転職する人の多くは年齢を意識せずに積極的に活動している実情が垣間見られる結果となりました。
調査データ:https://doda.jp/guide/age/
年齢別の転職事情とは?
続いては、年齢別で把握しておきたい転職の実態について迫ります。
転職者が多くなる20代・30代を中心に、年齢の視点から知っておきたい転職時の注意点をまとめます。
20代の転職事情
一般的に新卒で入社した会社で3年間、基本的なビジネススキルと忍耐力を培えば、多世代と比較すると有利となることが多いのが20代の転職事情です。
若いうちの転職では経験よりも可能性を評価されることが多く、人材育成にかかるコストも30代以上よりも低くなることが一般的であるとされるためです。
30代以上になると専門性を求められることが多くなるため、20代のうちに自分が専門性を高めたい職種を発見しておくことが必要と言えるでしょう。
30代前半の転職事情
企業の中には転職年齢の上限を30歳と決めていたり、現在の上司よりも部下となる転職者の年齢が上回らないように配慮したりする会社があります。
これほど強く転職と年齢の関係を意識する会社は減少しつつありますが、あなたが転職を希望する会社が、年齢についてどのような考え方を持っているのかは、30代であれば一度確認する必要があると言えるでしょう。
また、20代の転職とは異なり「即戦力」として期待される30代前半の転職では、面接時にこれまでの経験や持ち合わせているスキルをしっかりアピールする必要があります。
実際のエピソードに成果を加えて語る必要があります。
特殊技能が評価される職業においては、資格など技能をアピールできるツールを用いる必要もあります。
転職活動を機に、資格取得を志すのも方法です。
今後のキャリアプランで覚えておきたい考え方が、「マネージャーかスペシャリストか」という視点。30代後半になるとプロジェクトやチームをまとめるマネージャーとして働くのか、その道のスペシャリストとしてベテランプレイヤーとして働き続けるのかを選ばなければならない企業が多いからです。
自分の個性や希望する働き方を整理して、面接時などでアピールしてみましょう。
30代後半の転職事情
2006、7年ごろには「35歳限界説」という転職における年齢の噂が広まっていました。
これには、1993年〜2002年の“就職氷河期”と呼ばれる時代に採用できなかった人材を“第二新卒”の形で採用した企業が多くみられた背景があります。
この時代にはあながち間違っていなかった「35歳限界説」も、転職成功者の実に25%が35歳以上である近年の現状を考えると、変化してきたと言えるでしょう。
一方で、20代や30代前半と比べると高いスキルやマネージメント能力が必要とされるのも事実です。
前述した「マネージャーかスペシャリストか」の視点がズバリ問われる年齢となり、面接の内容も複雑化します。
これまでの経験・スキルにプラス、次の職場でのより具体的なキャリアプランが問われる年齢でもあるため、入念な転職準備が必要となるでしょう。
続いては、さらに詳しく35歳以上の転職事情を見ていきます。
働き手不足の影響で、以前よりも開かれた40歳前後の転職ではありますが、知っておきたい厳しい事情があるのも、また事実と言えるでしょう。
やっぱり、35歳からの転職は厳しい?
転職希望者の中には「安定した企業に就職したい」と考える人が多いです。
リスクを避けたいと考えるのは当然のことですが、安定した企業だからこそ潜む転職のリスクというものを知る必要があります。
覚えておきたいポイントは「安定した企業=安定して働ける職場ではない」ということ。
一般的に安定した企業とは、上場している大企業や歴史が長く知名度が高い企業をさしますが、こうした企業にはピラミッド型のヒエラルキーが存在していることがほとんど。
出世街道を進んでいく人はわずかで、残りの多くは転籍や出向を迫られ、望まない職種に就いたり年収が下がってしまうことが多いです。
特に、30代後半に入るとこうした動きが活発になる企業が多く、中途採用の枠を絞っている企業も目立つため、万一中途入社として採用されたとしてもそこで待つのは安定した働き方ではなく、10年以上同じ屋根の下で張りつめた戦いを繰り広げる社員との戦いと言えるでしょう。
さらに、特別なスキルを持ち合わせていればそんな戦いを勝ち抜いていくことも可能ですが、一般的なスキルであれば企業の中の左も右もわからない外部からの新参者に勝ち目はさほどなく、厳しい戦いを強いられることが容易に推測できます。
こうした背景が、35歳からの転職が難しいと言われる所以でもあるのです。
また、40代に年収のピークが来るという企業や職種が多いため、転職前の年収よりも後の方が年収が下回るという人が目立つのも40歳前後の転職の特徴です。
そのため、35歳を過ぎてから役職やワークライフバランス、それに年収水準などの希望条件にこだわると、転職を成功させることが難しくなります。
こうした金銭的な面も35歳以降の転職が厳しい言われる背景と考えられます。
少子化の煽りを受け、売り手市場の進む転職業界ではありますが、35歳からの転職を成功させるためには、「本当に大切な条件だけに絞る」という割り切りが重要です。
「こうだったらいいな」という希望は置いておき、自分が譲れない条件を明確化して、転職活動を進めてみましょう。
年齢とともに難しくなる転職活動では、自分の強みと条件整理が重要
可能性にかけてもらえる20代に比べると、30代後半以降の転職は厳しさが増すのが当然と言えるでしょう。
あれもこれもと欲張るのはやめて、自分の強みを冷静に把握し、譲れない条件を絞って転職活動に挑んでみましょう。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。