30代、40代の女性が転職について調べていると、「30歳限界説」というワードを目にすることもあるでしょう。
30歳を過ぎると転職するのが難しくなるという説で、このような情報を目にしてしまうと「もう転職するには遅過ぎるのかな?」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、最近では30代や40代の求人が増えているためこの説は気にする必要はありません。
何歳でも希望通りの転職をし、キャリアアップを実現している女性はいます。
ただし、どうしても20代での転職と比べるとハードルは上がってしまうのも事実。
転職を成功させるためには、どの業界に転職したいのか、自分の強みはなんなのかを事前に整理しておくことが大切です。
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なぜ転職の年齢上限説が根強かったのか
転職をするなら○歳まで、という年齢上限説は、いつの時代でもあります。
2008年のリーマンショック以前、転職サイト「doda(デューダ)」の調査によると、転職成功者の平均年齢は29.2歳でした。
この頃は、35歳が限界であるといわれていました。
それには2つ理由があります。
1つは、年代によって求められるスキルが違うため、年齢が上がるほど内定を勝ち取ることが難しくなっているためです。
高い給料を払うなら、それなりのスキルがなければ採用できないと考えるのは当然ですから、即戦力となる優れた人材でないと、なかなか転職ができなかったのです。
もう1つは、キャリアアップのための期間が足りなくなるということからです。
例えば、38歳で転職となると、60歳の定年までにあと22年しかありません。
今後のキャリア形成のことを考えると、できれば若い方がいいと企業は考えるため、35歳で区切っている会社が多かったのです。
転職と年齢の関係〜企業が求めるものは?
しかし、転職者の年齢は徐々に上がり、40歳以上の転職者も増えてきました。全体の割合としては、限界だった35歳以上の人が4分の1を占めるまでになっているのです。
また、2007年10月までは、求人広告に「○歳まで」と記載しても良かったのですが、法改正によって年齢制限が禁止されたことも、年齢が上がっていることと関係しているでしょう。
定年は伸び、終身雇用制もすでに崩壊しつつあります。
1つの会社に勤め続けるよりも、自分のやりたいことをやり、自分らしい生き方を探すために転職をする人も増えてきました。
転職に対するネガティブなイメージも、なくなりつつあります。
このような状況で、転職の年齢35歳上限説は、崩れているといっていいでしょう。
企業が35歳以上に求めるもの
そうはいっても、35歳以上の転職が楽になったわけではありません。
それは、大した経験がなくても若さを評価して採用される20代とは違い、35歳以上になるとそれなりの実績が求められます。
今後、管理職として活躍できるのか、マネジメント能力があるかというところがポイントになります。
企業が40代以上に求めるもの
40代以上になると、さらに求められるスキルは高度になります。
すでに管理職となっている年代でもありますので、即戦力であることはもちろんのこと、
- ポータブルスキル
- テクニカルスキル
など、年齢に応じたスキルが身についているか?ということも重要です。
会社によっては「業界経験○年以上」などの条件をつけているところもありますので、自分の経験がどう活かせるのか?ということをよく見極めることが大切です。
熱意だけでは採用されにくくなるのが40代です。
30代、40代の女性が転職でキャリアアップ をするには?
キャリアアップを考えるのであれば、転職後も同じ業界・職種で働くのが確実でしょう。
30代や40代に求められるのは、会社として育てていく経験の浅い人材ではなく即戦力となるような人材だからです。
現在まで働いてきた経験が強みとなり、転職に活かすことができます。
しかし、今とは異なる未経験の業界や職種で働きたいという方もいるでしょう。
その場合、今までの積み上げてきた経験やスキルを活かすことができず、即戦力とはなれないため転職は難しくなります。
30代や40代で未経験の転職は厳しいというのは男性にも言えることですが、女性は子育てなどで時間が制限されてしまうこともあり、そのような場合はさらに難しくなります。
未経験の職種で働こうと考えているのであれば、かなり高いハードルとなることを覚悟しておきましょう。
30代での転職は前半と後半で難易度に差が出る
30代になると、ある程度は経験を積んできていますが、30代前半であれば、まだそれほど重要な仕事は任されていないことも多く、企業側も特別な実績などは求めないはずです。
ですから、30代前半であれば、20代後半とそれほどおおきな違いはありません。
ただ、半ばを過ぎると少し変わってきます。
管理職として仕事ができるか、もしくは管理職候補になれるのか、という点がポイントになります。
まだ管理職としての経験がなくても大丈夫ですが、後輩はいるでしょうし、チームの一つくらい任されていれば、年下をどう指導してきたか、という点がアピールポイントになってきます。
30代後半なら、もう一歩で管理職にもなれるか?というタイミングが適当です。
40代はマネジメントの経験があると良い
40代になると、即戦力でもあり、なおかつ部下を取りまとめるという能力が要求されるようになります。
もしくは、専門的な知識を持っていたり、高いスキルを持っていたりすれば、需要が高くなります。
逆にいうと、40代なりのスキルがないと、転職は難しくなるでしょう。
プレーヤーの一人、という程度のスキルしかないなら、若い人を雇ったほうがいいからです。
もし40代で転職を考えているなら、管理職として活躍できる能力を身につけてから、ということになります。
子供の有無は転職にどう影響する?
女性は結婚や出産をする人も多くおり、近年30代だけでなく、40代の出産数も増加傾向にあります。
また、すでに子育て中という人もいるでしょう。
ただし、企業側は子供がいるかどうかで採用を判断するわけではありません。
問題は子供がいることで仕事に影響があるかどうかです。
例えば同じ5歳の子供の母親であるAさん・Bさんがいたとして、2人とも子供を保育園に入れていたとします。
Aさんは、同居している母親がおり、子供のことで欠勤早退することはありませんが、Bさんは子供の世話を任せられる人がおらず、
- 保育園の送迎をしているため残業不可
- 保育園から呼び出しがあった場合は早退
- 子供の体調不良で欠勤をしなければならない時がある
という条件が付いてしまうとすると、Aさんは小さな子供がいてもあまり影響はないと言えますが、残業が出来ず欠勤早退の可能性があるBさんを採用するのは難しいと感じる企業もあるでしょう。
また、子供がある程度大きくなっており、仕事に影響がないのであれば問題はないでしょう。
ただし、これはどの企業も同じというわけではありません。
最近では医療や福祉関連だけでなく、営業職やエンジニア、ウェブ系業種など幅広い業種で子育て中の人を積極的に採用している企業は増えています。
最近では、子育て中のワーキングママが活躍している企業のみを集めた「QOOLキャリア」という転職サービスも登場しています。
子供がいて働き方に制限がかかる場合でも、以前よりはずっと転職をしやすくなっているので、諦めずに探すことが大切です。
30代、40代で転職を成功させる秘訣
30代や40代の女性が転職を考えるのであれば、ポイントを押さえた転職活動をしましょう。
なぜ転職したいのか自分の考えをまとめる
漠然と「今の会社は嫌だから転職しよう」と考えて転職活動をするのではなく、動き始める前に「なぜ今の会社ではいけないのか」という理由を明確にしましょう。
- 通勤が遠すぎて、生活に支障が出ている
- キャリアアップ のため
- 休みをきちんと取れる会社で働きたい
など、いくつかの理由が思い浮かぶのではないでしょうか。
辞める理由は次の働き先を見つける条件となります。
そのため、自分がなぜ転職を考えているのかをはっきりさせておきましょう。
その上で、転職先に求める条件をリスト化し、
- 外せない条件
- できれば叶えたい条件
の2つに分けておきましょう。
そうすることで、どのような企業で働きたいかもはっきりします。
思い立ったら即行動を!でも先に退職しないこと
30代、40代で転職をしたいのであれば「2〜3年のうちに転職できれば…」と悠長に構えていては時間ばかりが過ぎてしまいます。
それと共に年齢も上がっていくので、どんどん転職のハードルも上がってしまうのです。
焦って無闇に転職するのはよくありませんが、転職をすると決めたらすぐにでも本腰を入れて転職活動を始めるべきでしょう。
しかし、「転職活動に専念するために」と、転職先が決まらないうちに会社を辞めてしまうのはやめましょう。
なかなか転職先が見つからなければ、仕事をしていない空白期間が発生します。
たった数ヶ月のことだとしても、企業からは
- 仕事への意欲が低いのでは
- 計画性がないのでは
- 入社後すぐにビジネス感覚が戻らないのでは
と思われてしまう可能性があります。
また、転職活動が長引く可能性もあり、そうなった場合「転職活動で空白期間が長い=使えない人材だから仕事が決まらない」という印象を与えてしまう可能性も。
転職先が決まらないと、失業保険受給開始まで収入がなくなり、金銭面で困窮してしまう可能性もあるため、転職活動のために退職するのはメリットがほとんどないのです。
自分の強みについてまとめておく
転職活動をするのであれば、自分の強みをあらためて整理しておきましょう。
そうすることで、どのように自分を売り込めばいいのかもおのずとわかってくるでしょう。
自分の強みについて「よくわからない」「強みはない」という人がいます。
しかし、誰にでもなにかしらの強みはあるものです。
具体的にどのようなものが強みになるかというと、
- ヒューマンスキル
- テクニカルスキル
- コンセプチュアルスキル
の3つに分けられます。
ヒューマンスキルは対人スキルやストレス耐性、テクニカルスキルは仕事の知識や経験、コンセプチュアルスキルは物事の本質を見極めるマネジメントスキルのことをいいます。
特にコンセプチュアルスキルがわからないという人が多いのですが、今まで仕事をしてきて問題が発生したときに、どのように対処してどのような学びを得たかなどを考えると、自分が持つコンセプチュアルスキルに結びつきやすくなります。
自分の強みを理解することで、どのようにアピールしていけばいいのかもハッキリし、転職活動にも自信を持つことができます。
自分の強みがわからない場合は、キャリアタイプ診断を受けたり、転職エージェントに相談してみるといいでしょう。
年齢に応じた経験、スキルを身につける
企業が35歳以上の人に何を求めるのか、を考えれば、転職成功の道は見えてきます。
大学を卒業してから入社したとしても、新卒で入社していれば、すでに10年以上同じ会社での経験があります。
管理職にはならないまでも、後輩の指導を行うなど、ある程度のマネジメントは行ってきているはずですし、その仕事に関する資格を取得するなどしてテクニカルスキルも上がっているでしょう。
自分は即戦力で働けます、ということをアピールできるならば、むしろ35歳以上ということが武器になるのです。
自分で自分のアピールポイントがわからないという人は、転職エージェントなどを利用して、自分の強みを掘り下げるといいでしょう。
もし足りないと思うなら、今からでも遅くはありません。
勉強できることはどんどんして、スキルをアップさせましょう。
情報収集を徹底して行う
いくら書類を送っても面接までたどり着かないという場合には、企業研究などがしっかりできているか?という点をもう一度考え直してみます。
求人欄やホームページには「こういう人を求めています」ということが必ず書かれているはずで、自分がその人物像と一致しないのに応募しても、面接まで進むことは難しいでしょう。
履歴書を送るとき、どんなことをアピールすれば通りやすいのかは、求人欄にヒントがあります。
業界と企業研究を徹底して行ってみてください。
転職の条件を絞ることも大事
年齢が上がるほど、お給料も大事だし、家族のための休みも欲しいしと、転職にあたって望む条件が増えていきやすくなります。
自分が望む条件を全て満たすような企業はなかなかないため、「いい会社が見つからない」となってしまっている人もいます。
条件は、できれば3つくらいまでに絞って、どうしても外せない条件だけで会社を探してみてください。
状況別に転職のタイミングを考える
次に、年代と合わせて、どのような状況で転職を考えるのがベストなのか、仕事のキリが良いところや、プライベートの節目などに合わせて考えてみます。
今の会社でやるべきことをやりきったタイミング
大きな仕事の途中で転職するのはもったいないです。
職歴書でアピールできるくらいのプロジェクトをやりきった、と自信を持って言えるくらいの仕事を終えたタイミングは、転職に適しています。
その仕事に必要な資格を取ってから
資格を持っていれば仕事ができる、というのは、医師や弁護士など国家資格くらいなので、資格さえて取れば転職がうまくいくわけではありません。
ただ、業種によっては資格を持っていることが能力の証になることもあります。
例えば、経理の仕事をしたいなら、簿記の資格を持っている方がいくらか有利ですし、不動産業界で転職するなら、宅建は必須の資格でしょう。
この資格があった方が少しでも有利になる、というものがあるのなら、転職活動をする前に資格を取っておくことをおすすめします。
マネジメントの経験がある人は実績を残して転職
40代といわず、30代でもマネジメントの経験があるなら、堂々と上のポストを狙っていきましょう。
マネージャーや管理職になったばかりではなく、その職についてから1〜2年経験を積んで、実績を残してからがベストなタイミングです。
プレーヤーで居続けたい人は管理職に昇進する前に転職
管理職にはなりたくない、現場でずっと働きたいという人は、管理職になる前がベストタイミングです。
ある程度の年齢になると、希望していなくても管理職のポストにつけられてしまうことがありますので、先輩の昇進のタイミングなどを見つつ、管理職になる前に次の仕事を探しましょう。
これから出産を考えている人は早めに!
女性の場合、仕事の実績以外に、結婚や出産の予定なども考えておきましょう。
というのは、出産しても仕事を続けたいという場合、転職したばかりでは育休は取得できないことがあるのです。
育休は、1歳未満の子供を養育する人が取れるのですが、
- 雇用期間が1年未満
- 1年以内に雇用関係が終了することが明らかな場合
- 週の労働日数が2日以下
などの条件に該当する従業員は対象外とする、という労使協定が結ばれている場合に、育休が認められないことがあります。
つまりこのような会社では、最低でも1年以上同じ会社に勤めていて、週に3日以上勤務していないと取得できないので、注意が必要です。
まとめ:30代、40代でも転職を成功させることは十分可能!でもやり方を間違えないで
以前は30歳を超えると転職が難しかったり、子育て中だと採用されないということが実際にありました。
しかし、現在は30代や40代の即戦力人材を募集している企業が増え、女性の社会進出が進められたことによって、30歳以上でも子育て中でも転職がしやすくなってきています。
ただし、20代と比べればやはり転職のハードルは高いため、無闇に転職活動をしてもなかなか決まらないこともあるでしょう。
転職を成功させるためにも、まず自分がどうして転職をしたいのかを考え、自分の強みはなんなのかを理解するところから始めてみることをオススメします。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。