うつ病で仕事を休職する人は年々増えています。
仕事が続けられずに辞めざるを得ない人もいますが、厚生労働省の調査によると、2人に1人は復職をしています。
復職したら、うつ病が再発しないようにすることがとても大切です。
そこで今回は、自分のペースで無理なく仕事を続け、うつ病を仕事をしながら克服するためのポイントをまとめました。
辛い時もあるでしょうが、上手にうつ病と付き合いながら、仕事を続けて欲しいと思います。
Contents
うつ病の人が仕事をしながら克服する日常生活のヒント
仕事を続けていくためには、まず日常生活のリズムから整えていく必要があります。
心も体も健康を保っていかないと、疲れやすくなり、うつ病が再発する危険もあるからです。
生活のリズムを整えること
うつ病が一番辛いのは朝だといわれます。
症状が出ているときには夜も眠れないため、睡眠不足で朝もスッキリ起きられません。
休みの日にはついお昼まで寝てしまいがちですが、朝起きることが非常に重要です。
とにかく早寝早起きを心がけ、夜更かしをせず、しっかりと休養して朝起きられるようにすることです。
朝起きられないと出勤もできませんし、頑張って出勤しても疲れて仕事が続けられなくなるので、疲れを溜めないように生活のリズムをしっかりと自分で管理していきましょう。
軽い運動を心がけること
うつ病は、運動することで症状が軽くなるという調査結果があります。
「HUNT研究」(オーストリアの研究者が中心となった国際的な調査)によると、
- 運動を全くしない人は週に1〜2時間する人よりもうつ病のリスクが44%高まる
- 週に1時間の運動でもうつ病発症のリスクを12%抑制できる
ということが分かったそうです。
運動は抗うつ剤を使うのと同じくらいの効果があるともいわれているので、体調が良い時には積極的に体を動かしたいものです。
運動が苦手な人は、何もスポーツを無理してやる必要はなく、歩くだけでも十分です。
会社に行く時、もしくは帰る時に、1〜2駅前で降りて30分ほどウォーキングをしてみてはいかがでしょうか。
気晴らしができる趣味を見つける
うつ病の人でなくても、日々の暮らしの中でストレスは溜まるものです。
しかし、楽しく過ごしている人は、溜めすぎない方法を知っているのです。
その方法の一つが、没頭できる趣味を持つことです。
仕事で嫌なことがあった時でも、「これをやっていれば幸せ!」という趣味があったら、それに没頭しているうちに気晴らしができてしまうからです。
趣味はインドアでもアウトドアでもOKですが、できればどちらもあるといいでしょう。
天気の良い日は外で楽しみ、出かけられない時でも家でできる趣味を1つ持っていると、いつでも自分を楽しませることができます。
うつ病でも仕事を無理なく続けていくためにできること
うつ病の人が復職した時に気をつけて欲しいことがあります。
それは、決して無理をしないということです。
今までのペースで仕事をするのは難しいので、ゆっくりと慣れていく必要があるのです。
劇的にはよくならないということを肝に銘じる
薬を飲んでいると、うつ病が良くなったような錯覚を起こすことがありますが、残念ながらうつ病は劇的に症状が改善する病気ではありません。
いい日もあれば悪い日もあって、一進一退を繰り返しながら、徐々に快方に向かっていくものです。
ですから、調子が良いからといって無理をしてしまうと、その反動でかえって具合が悪くなることもあるのです。
元気な時は、これまでの遅れを一気に取り戻したいという気持ちになりがちですが、そんな時ほどブレーキをかけてほしいと思います。
急には良くならないけれど、できない自分に失望しないよう、長い目で見るようにしてください。
うつ病の治療は時間がかかるものなのです。
徐々にでも、必ず快方に向かうことを信じてください。
仕事を頑張りすぎないこと
仕事を休んでしまったという負い目から、これまで以上に頑張ろうとする人がいますが、それは決して良いことではありません。
周りの目も気になるかもしれませんが、完全復活するまでは、休むことも仕事のうちだと思ってください。
うつ病になる人は、もともと真面目で頑張り屋さんの人が多いのです。
病気になったのに、まだ頑張ろうとしてしまい、症状をさらに悪化させてしまいかねないので、復帰したばかりの時には、頑張るよりも「再発させないことが大事」ということを肝に命じてほしいと思います。
そのためには、休む勇気を持つことです。
悪化させて1ヶ月休むより、今日1日しっかり休んで元気になろう、という気持ちの切り替えが必要です。
今日できたことに満足しよう
頑張り屋さんで真面目な人は、ゼロか100かで考えがちです。
90点の出来でも、「10点足りないからダメだ」と考えてしまうのです。
「〜べきだ」と考えがちな人は、特に注意が必要です。
マイナスのこと、できなかったことにフォーカスするのではなく、どんなに小さなことでも良いので、「今日できたこと」にフォーカスする癖をつけましょう。
1日の終わりに、今日できたプラスのことを1つで良いので考える習慣をつけてください。
後で見返せるように、手帳やノートに書いておくと良いでしょう。
- 朝はいつもより10分早く起きられた
- 提出した資料が良くできていると褒められた
- ランチを美味しく食べられた
- 帰りは1駅前で降りて歩いて帰ってきた
仕事に関わることだけではなく、その日に自分が感じた楽しいことを書いてみてください。
楽しいと感じることが増えることによって、毎日元気に過ごせるようになっていきます。
心が元気になれば体も元気になりますし、仕事も楽しくできるようになります。
周囲に理解をしてもらうことも大切
うつ病の認知度はだいぶ高くなっているものの、風邪のようにわかりやすい症状がないことから、以前は単なるサボりではないか、仕事をしたくないだけではないかと誤解する人もいました。
しかし今では、本人のやる気の問題ではないということが少しずつ浸透してきています。
うつ病は立派な病気であり、適切な治療が必要なものですから、調子が悪い時に休めるよう周りに理解者がいた方が仕事をしやすいです。
ただ、なってみないと本当の辛さがわからないのが病気というものですから、経験者でないとあなたの辛さを理解してもらうのは難しいのです。
仕事は頑張りつつも、うつ病はどういう時に症状が悪化してしまうのか、どのような治療が必要なのかなど、周囲に話をして理解をしてもらえるよう、自分からも働きかけをしていきましょう。
うつ病は「完治」を目指さない病気
うつ病は、残念ながら、一般的な「病気が治る」という状態にはならない病気です。
うつ病には「完治」という言葉は使わず、「寛解(かんかい)」という言葉を使います。
これは、治るのとはまた違い、症状が出なくて、日常生活にも仕事にも支障が出ないような状態になるという意味で使われる言葉です。
早く治さなくちゃ!と焦ってしまうと、この寛解からは程遠い状態になってしまうため、完治することを目指すのではなく、平穏無事に過ごせる状態を目指す、と考えると良いかもしれません。
どうして?治らないの?と思うのではなく、上手に付き合っていこうというくらいの気持ちの方が、自分を追い詰めず、症状を悪化させることもありません。
焦りは禁物です。
うつ病はせっかく良くなっても、自分を追い込むことで再発する危険が高い病気です。
ストレスでも症状は悪化しますので、どうすれば楽しく過ごせるか?ということを考えることが大事なのです。
難しいかもしれないですが、いったん「治そう」という気持ちを脇に置いて、この病気をこれ以上悪くしないようにしながら、私らしく仕事を続ける方法を探してみよう、と考えてみませんか?
まとめ
何よりも大事なことは、焦らないということです。
うつ病になる人は真面目な人が多いので、周りに迷惑をかけているという気持ちから、頑張りすぎてしまう傾向があります。
しかし、その頑張りすぎがうつ病の再発につながります。
うつ病は完治させるのではなくて、上手に付き合っていくものです。
焦る気持ちを抑えて、無理のないペースで仕事を進めていきましょう。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。