統合失調症と診断を受けて、仕事をしばらくお休みしていると、このまま仕事ができなくなるのではと不安な気持ちにかられるでしょう。
しかし、安心してください。
統合失調症と診断されても、仕事を続けている人はいます。
少し時間はかかるかもしれませんが、統合失調症と上手に付き合いながら無理のないペースで仕事を続けていけるようにすれば大丈夫です。
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統合失調症の人が仕事を探すには
統合失調症と診断されても、働く道はちゃんとありますので、安心してください。
ただ、長く働けるようにするためには、すぐにこれまでと同じ職種や業界に戻るよりも、ワンクッションおいて、統合失調症でも働きやすい職場を見つける方が良いでしょう。
就労移行支援でサポートを受ける
一般企業への就職を希望する障害のある人が、働くために必要なスキルなどを身につけるために利用できるサービス、それが就労移行支援です。
雇用契約はなく、基本的には賃金もありません。
どんな仕事に就きたいのか相談に乗ってくれたり、必要なスキルを身につけるためのサポートをしてくれます。
職場体験や実際に応募する際の履歴書の作成も手伝ってくれるので、就職活動を行う上で非常に強力な味方となります。
無料ではなく、前年度の世帯所得に応じて負担額が変わりますが、本人と配偶者の所得となりますので、実家に住んでいる方の親の収入は含まれず、ほとんどの方が無料で利用しています。
就労継続支援事業所で働いてみる
実際に企業に就職する前に、働く経験を積んでおきたいという方のためのサービスが、就労継続支援事業所です。
雇用契約の有無によって、2種類あります。
- A型:雇用契約あり。就労が可能と見込まれる人を訓練する。
- B型:雇用契約なし。過去に就職していた人のリハビリや就職すれば能力が向上するであろう人の訓練をする。
工賃(報酬)はA型でもB型でも支払われます。
A型の工賃は最低賃金以上の支払いがあり、月平均で7万6千円ほどの報酬になります。
B型は授産施設(障害者の自立を支援する施設)の平均工賃以上が支払われ、月平均1万6千円ほどになります。
※平均額は厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況(平成30年度)」より
まずは就労支援継続事業所で仕事に慣れて、自信をつけましょう。
A型ですと収入も安定するので、本格的な復帰に向けての気持ち作りにもいいと思いますし、B型は短時間労働が主になりますが、雇用関係がないので、気持ちの面では楽かもしれません。
どちらが良いかは、その人の症状次第なので、医師と相談のうえで決めると良いでしょう。
ハローワークで仕事を探す
本格的に復帰できそうだとなれば、ハローワークの障害者担当窓口を利用して、就職の相談してみましょう。
障害者求職登録手続きをしたうえで、主治医の意見書を提出することで利用できます。
どのような仕事が向いているかを考えて紹介してくれますし、トライアル雇用などの制度を利用して、今の自分に合った会社かどうかを確かめることも可能です。
特定の曜日に精神疾患のある人を支援でできる専門の相談員がいる窓口もありますので、最寄りのハローワークに聞いてみてください。
「職業評価」をしてみる
各都道府県に、「地域障害者職業センター」が設置されており、職業評価をしてくれます。
本人の希望を聞きつつ、検査や作業を通して、どのような分野の仕事が向いているかを分析してくれます。
その結果によって自分の適性がわかり、どのように就職活動やリハビリを進めていけば良いか、考えやすくなるでしょう。
分析といっても絶対的なものではないので、分析によって向いているとされた仕事が必ずしもいいわけではないのですが、一つの目安にはなるでしょう。
全国の地域障害者職業センターはこちら。
統合失調症の人が無理なく働くために
療養期間明けで仕事に復帰する場合には、いきなり元の仕事に戻れるかというと、そうではないケースが多いです。
日常生活を送るには問題ないとしても、仕事に復帰したことがきっかけでまたストレスがたまり、症状が悪化してしまう人もいるからです。
しかし、仕事をするという目標に向かって頑張ることが症状の軽減に繋がることもあるので、医師や上司とよく相談して、無理のない範囲で仕事を進めていくことがとても大切です。
短時間の勤務から始めてみよう
仕事に早く復帰したいと気持ちが焦ってしまうと思いますが、ここは体調を見ながら慎重に進める必要があります。
普通の人でも1日8時間、週に5日働いていたら、疲れが溜まります。
統合失調症の人は、日常生活だけでも疲れやすいので、最初から長時間勤務は辛いかもしれません。
まずは働く環境に慣れることが大切なので、無理せず短時間勤務から始めてみましょう。
療養期間が長かった人ほど、通勤するだけでも重労働ですから、決して無理をしてはいけません。
最初から無理をして、また休むことになってしまうと、自信を失って本格復帰がさらに遠のいてしまいます。
人生は長いので、これから長く働き続けていけるよう、できる範囲の時間から始めることをおすすめします。
自分の症状が出やすくなる予兆を把握しよう
統合失調症の人は、疲労やストレスがたまると、幻聴や妄想などの症状が出やすくなることがあります。
どんな時にそれらの症状が出やすくなるかを把握しておくことは、仕事復帰に向けて必要なことです。
例えば、
- 妄想
- 幻覚
- 思考障害
などは「陽性症状」といいますが、これは自分の中で起きていることなので、周囲の人にはわかりにくいものです。
強い疲労感があるときや睡眠がしっかり取れてないなど、どのようなことを契機に症状が出やすくなるかを知っておくことは、症状を悪化させないことにもつながりますし、万が一症状が出ても、早めの対処が可能です。
症状が出た時の対処法をリハビリで訓練しておくこと
統合失調症は薬だけで治療するのは難しい病気で、日常生活を取り戻すためには、リハビリなどのトレーニングが非常に重要です。
トレーニングをしっかりしておけば、もし陽性症状が出たとしても、自分でコントロールができるので、仕事を続けていても大丈夫。
しかし、トレーニングが足りないとパニックになってしまい、切り替えがうまくできなくて仕事を続けることが難しくなります。
そうならないためにも、訓練は大事です。
- 病院
- 就労支援事業所
などで、しっかりリハビリをしましょう。
例えば、仕事中に、同僚や上司が自分の悪口を言っているのではないかという妄想や幻聴が起きた時、トレーニングが足りないと、仕事に集中できなくなってしまいます。
そんな時は、上司に直接、仕事についての質問をしてみるなど、自分から話しかけられるようにしておくと、誰も悪口など言っていないことがわかり、気持ちも安定します。
自分の症状を把握したうえで、どのように対処するかを訓練しておくと安心です。
ストレスを溜めないように気をつけよう
統合失調症は、治ったように見えても再発しやすい病気だといわれています。
再発を繰り返していると症状が慢性化し、さらに治りにくくなってしまいます。
ですから、再発させないようにすることが何よりも大事なのです。
ストレスや疲労、薬の中断が再発の大きな要因だとされていますので、医師の指示通りに服薬を続けることと、なるべくストレスを溜めないようにすることを心がけましょう。
仕事への復帰は、それだけでも大きな環境の変化で、ストレスが溜まるものです。
復職が再発のきっかけにならないよう、体調を見ながら慎重に仕事を進めていきたいものです。
もし調子が悪いと感じたら早めに休む勇気を持ちましょう。
そして、自分なりの気分転換などをして、ストレスを溜め込まないように気をつけてください。
まとめ
早く仕事に復帰したい、今まで通りに働きたいという気持ちが強いかもしれませんが、焦りは禁物です。
症状が出にくくなるようにリハビリや訓練をしながら、無理せず、できる範囲の時間からスタートします。
仕事でストレスや疲労をためて、病気を再発させないように、ゆっくりしたペースで仕事を続けましょう。
そして、時には休む勇気も持ってください。
頑張りすぎないで、自分のペースをつかむことができれば、これからもずっと仕事を続けていけるでしょう。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。