社会不安障害と診断されると、この先仕事を続けていけるだろうかと心配になる思います。
しかし、どんな時にどんな症状が出やすいのか、自分で把握しておくことで、その症状への対処法も見つかります。
また、社会不安障害で療養中の人は、仕事に復帰するにあたり、就職をサポートしてくれる制度もありますので、安心してください。
これからも仕事を続けながら、自分らしく生きていく方法を一緒に模索しましょう。
社会不安障害の人が仕事をする上で支障をきたすこと
社会不安障害の人は、人が大勢集まる場所や、人前で何かをすることが苦手です。
仕事をするには、どうしてもそのような場面を避けることができないので、ところどころで、症状が出やすくなります。
まずは、自分の症状を把握することが大切でしょう。
電車やバスが苦手で出勤が不安
- パニック障害
- 限局性恐怖症
- 広場恐怖症
などの症状があると、乗り物を利用した時にパニックで動けなくなってしまうのでは?という不安があり、通勤が困難になることがあります。
出勤すること自体が大きなストレスです。
会議やプレゼンが怖い
普通に会話することなら問題ないのに、プレゼンテーションなど人前で話すことに強い緊張を感じるため、
- 動悸
- 過呼吸
などの発作が出てしまうことがあります。
また、会議での発言や顧客との打ち合わせで説明する時などの改まった場でも、強い不安から言葉がうまく出てこなくなることがあります。
電話での応対が恐怖
電話で相手に失礼のないように話せるだろうか、そのような不安から上手く話せないことがあります。
また、会社で電話に出る時には周りに人がいるため、受け答えがうまくできなかったらどう思われるかということも不安材料になって、強い緊張感から言葉が出にくくなります。
人に見られていることが嫌で仕方ない
上司や同僚に仕事ぶりを見られているのではと気になってしまい、見られているのに失敗したらどうしようと不安になって、仕事が手につかなくなります。
実際にそれほど見られているわけではないのですが、人の視線に敏感になっているので、そのような妄想が起きてしまいます。
仕事の量が不安
人から見たらそうでもない仕事量であっても、自分では「本当にこれだけこなせるだろうか」と思ってしまうと不安になって、仕事が進まなくなることがあります。
雑談ですら苦痛になる
とにかく人がたくさん集まっている場は苦手に感じます。
歓送迎会や忘年会など、大勢の人がいる場で話すのは苦痛で、うまく話さなければという気持ちから、雑談すらスムーズにできなくなってしまいます。
人とうまく話せなかったという経験があると余計にそう感じて、また同じことを繰り返したらどうしようと「予期不安」の症状が出ることもあります。
社会不安障害の人が仕事を続けていくためにできること
社会不安障害を抱えて仕事をしていくことは簡単ではないかもしれません。
しかし、自分がどんな時に、どんな症状が出やすいのかを把握し、その対処法をあらかじめ考えておけば、仕事を続けていくことはできるので、諦めないでください。
通勤時間をずらせるか相談してみる
通勤ラッシュを避けるだけでも、少し不安が小さくなると思います。
早めに出勤するか、それが難しければ時差通勤を認めてもらい、満員電車に乗らないようにすれば、パニック発作が起きる状況を避けることができるでしょう。
それでも、体調によって発作が起きることは考えられます。
万が一のことを考えて、電車が止まりにくい急行電車には乗らず、いつでも降りられるように各駅停車に乗ると少し安心です。
何か起きても大丈夫!と思っているだけでも、発作のリスクを抑えられます。
仕事の量を調整してもらう
業務量が多すぎてパニックを起こしてしまいがちな人は、無理なくできる量に調整してもらうよう、上司と相談してみましょう。
ここは、徐々に慣れていくことが大切なので、無理をしないことです。
自分の仕事を少なくしたら周りに迷惑がかかると思って、できない量の仕事を抱えてしまうと、発作でかえって迷惑をかけてしまうことになります。
また、席の配置などで、人の視線が気にならない席であれば安心して仕事ができる場合もあります。
少しでも自分が不安を感じにくい環境が作れるかどうか、相談してみて、できる範囲で対応してもらえれば、緊張感も和らぐのではないでしょうか。
恐怖を自分で和らげる方法を知っておく
不安障害には種類がありますから、自分がどんな時に強い不安、恐怖を感じるのかをしっかり把握しましょう。
そのうえで、症状が出た時に、どうすれば抑えられるのか、自分なりの解決法を知っておくと、それだけでも安心材料になります。
例えば、強い不安で呼吸が荒くなってしまった時には、5秒かけて息を吐き、3秒かけて息を吸う、ゆっくりと深呼吸をすることによって、気持ちを落ち着けます。
何度も練習することで、「いざとなったらこれをすれば大丈夫」と自分に言い聞かせてください。
「できる」という自信が気持ちを楽にしてくれます。
困ったときに相談できる人を作っておく
仕事を続けていくうえで、頼れる人を作っておくことはとても大切なことです。
同僚でも上司でもいいので、辛いと思った時に相談できる人がいると、少し安心できるのではないでしょうか?
症状が出やすくなっているときは、疲労やストレスが溜まっている証拠です。
そんな時に相談できて、なおかつ、業務量も調整してもらえると、仕事がやりやすくなるでしょう。
できることを頑張っていこう
人に説明することや大勢の前で話すことは苦手かもしれませんが、それ以外にできることがきっとあるはずです。
何も、みんなと同じことをする必要はなくて、「これだったらできる」ということを探しましょう。
その上で、「これは難しいですが、この仕事ならきちんとできます」ということをアピールしていくことが大切です。
社会不安障害だからできません、ではなくて、社会不安障害ですが、これなら得意ですと主張できることがあれば、自信を持って仕事を続けていけるでしょう。
社会不安障害の人が仕事をするのに利用できる制度
少し仕事を休んだ後に、いきなり以前と同じ仕事に戻るのは難しいこともあります。
そんなときは、治療をしながら仕事の訓練をして、働くことに心と体を慣らすことが大切です。
障害者就業・生活支援センターを利用する
全国に、334カ所の障害者就業・生活支援センターが設置されています。
厚生労働省や都道府県からの委託を受けて、社会福祉法人やNPO法人によって運営されている施設です。
障害者の雇用促進や就労支援のための施設なので、
- もっと働きやすい職場はないか?
- 病気を持ったまま仕事を続けていけるか?
- 将来に不安がある
など、仕事のことから生活のことまで、いろいろな相談に乗ってくれます。
就職についての相談はもちろんのこと、「朝起きるのが辛い」など生活の細かい相談にも乗ってくれるので、気軽に話をしてみてください。
困った時に相談する先があると思えることは、気持ちを楽にしてくれるのではないでしょうか。
基本的には電話をして、面談の予約をして利用します。
どうしても家から出られない場合には、職員が訪問してくれることもあるので、相談してみてください。
就労移行支援事業・就労継続支援を利用する
実際に仕事をして、体を慣らしていきたいという時には、就労支援移行支援事業所を利用してみませんか?
一般企業に就職したい人のために、
- 仕事の訓練
- 就職の支援
などを行ってくれます。
あなたに合った計画を立ててくれて、就職に関する知識や働くために必要なスキルを身につけたり、相談に乗ってくれたりします。
実際に就職が決まるまでサポートしてくれますので、積極的に利用してみましょう。
所得に応じて利用料が発生することがありますが、無料になるケースが多いです。
利用申し込みは市区町村の窓口になりますので、お住いの役所に行ってみてください。
ハローワークで相談する
ハローワークには、障害者担当の窓口があります。
障害者枠のある会社などもわかりますし、トライアル雇用の制度を利用して、自分に合った会社を見つけることもできますので、大いに利用しましょう。
まとめ
どんな人でも、得意と不得意があります。
なんでもできる人はいません。
そういう意味では、多かれ少なかれ、皆不安を抱えて仕事をしているものなのです。
社会不安障害の人は、自分のできることとできないことをしっかり把握して、できることを精一杯やっていきましょう。
そうすれば、自分が得意なことで成果を出しつつ、自分らしく仕事を続けていけるのではないでしょうか。

一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。