人事異動などで仕事の引き継ぎをしなければいけなくなったとき、初めてですと、どうやればいいのか手順がわからなくて迷ってしまうことがあると思います。
引き継ぎは、相手がいることなので、自分一人で勝手に進めることができません。
自分は分かっていることでも、初めての相手にわかりやすく伝えるというのは意外と難しいものです。
どのようにスケジュールを立てればいいか、仕事の引き継ぎをする相手とどうコミュニケーションを取ればいいのか、スムーズに進めるための方法についてお話しします。
職種による引き継ぎの違いについても説明しますので、参考にしてください。
Contents
引き継ぎ作業の手順、基本を押さえよう
まずは、仕事の引き継ぎをするときに知っておいてほしい、基本的なことについて説明します。
どんな種類の仕事であっても、まずはこの手順で作業を始めましょう。
自分が抱えている仕事をすべて洗い出す
最初にやることは、自分の持っている仕事をリスト化することです。
誰に何を引き継げばいいのか整理するために、仕事の大小に関わらず、すべて書き出します。
この段階では、引き継ぐべきかどうかの判断ができないことも多いので、日々やっていることをすべてリストアップしてください。
誰に何を引き継ぐか、仕事の分類をする
大小問わずリストアップしたら、次は分類作業です。
- 仕事の頻度で分ける(週1、月1など)
- その中で優先順位の高い順に並べる
- 誰に引き継ぐかをメモする
- 引き継ぐ相手ごとに分類する
このようにすると、誰に何を引き継げばいいかと、引き継がずに良い仕事もわかるようになります。
引き継ぎのスケジュールを立てる
誰に何を引き継ぐかが決まったところで、
- いつまでに
- どの業務をどのタイミングで
- どうやって
引き継ぐかを考えます。
引き継ぐ相手、業務の内容によって、引継ぎ方も変わってくるでしょう。
引継ぎ書を作って渡せば済むようなルーティンワークなのか、関連部署への挨拶等も含めて、説明する時間を取らないといけない仕事なのかを考えて、スケジュールを立てましょう。
説明しないといけない場合は、相手の都合も考えないといけないので、時間を取ってもらうよう、早めに打診しておきます。
引き継ぎ資料を作る
あとで誰でも見てわかるように、ということを意識して引継ぎ資料を作ります。
- その仕事の目的
- 納期、必要な期間
- 関連する部署と担当者
- 取引先
などの項目を漏らさずに入れていきましょう。
その仕事をする人が、全く初めての状態でも書いてあることの意味がわかるように、専門用語を使わずにわかりやすく書くよう、心がけます。
自分はすでに知っていることでも、初めての人にはわからないこともたくさんありますから、自分が初めてその仕事に取り組んだ時のことを思い出してください。
資料を作ったら、誰かにざっと目を通してもらうといいでしょう。
その仕事に関係しない人なら、誰でも構いません。
関係ないからこそ、わかりにくい点を指摘してもらえます。
職種別・仕事の引き継ぎ書作りのコツ
仕事の引き継ぎの基本がわかったところで、職種別のポイントについてもお話ししましょう。
取引先の情報が重要な営業職
営業職は、必ず取引先とのやりとりが発生します。
大きく分けると、この2つです。
- 既存の顧客とのやりとり
- 新規顧客の開拓
- 既存顧客の情報
- 見積書、契約書等の書類
- 過去に提案した資料
- これまでの取引の履歴
などをわかりやすく整理してください。
- 新規顧客の開拓
- 今後契約できそうな見込み客の情報
- 商談の経過
などについての資料も作っておきましょう。
事務職は業務のサイクルがわかるようにする
事務職の場合は、ルーティンワークになっているものも多いので、「いつ何をやればいいか」がわかるようにすることが引き継ぎのコツです。
例えば、
- この仕事は納期が月末なので、遅くとも月の半ばには手をつけておくこと
- この資料は○○部の△△さんからデータをもらって作成する
- 毎週月曜日に課長に報告書をあげる
など、関係先や納期などがわかるように作りましょう。
企画関係の仕事は事例の整理をする
企画職は、過去の事例やこれまで提案してきた資料をきちんと整理しておきます。
通った企画だけでなく、ボツになったものも、その経過やフィードバックなどがあると、次に担当する人の参考になるでしょう。
エンジニアなどの技術職は理由が大事
技術職なら、プログラムや技術に関して基本的な知識は持っているので、引き継がれた設計書等の内容を理解することはできます。
後任者が見てわからないと思うのは、
- なぜここでこの部分を変更したのか
- 通常はAという方法を使うのに、Bという方法を採用したのはなぜか
というような、あえてそのやり方をした理由なのです。
セオリー通りにやってうまくいかないことはよくあることですから、このやり方を採用した理由や思いをしっかり残しておきましょう。
仕事の引き継ぎをスムーズに進めるためのポイント
引き継ぎ書ができれば、いよいよ実際の引き継ぎになりますが、最後に以下の点にも注意して、作業を進めてください。
仕事は切りのいいところまで済ませておくこと
あまりに中途半端な状態で引き継ぎされてしまうと、後任者が困ります。
なるべく手をつけやすいよう、自分でできるところは全て済ませてから、引き継ぐように心がけてください。
担当した人だからこそわかる詳細も引き継ごう
実際に担当してみて、この部分はこうした方がもっと効率的では?と思うような改善点が出てくると思います。
また、関連部署の担当者のことなど、あなたにしかわからないこともあるでしょう。
- 営業の○○さんに連絡するときは電話の方が早い(メールはなかなかみてくれない)
- 総務に話を持って行くときは、○○さんを通すと早い
- ○○課長にはこういう手順で説明すると話がスムーズに通る
など、後任が知っておくと便利な情報なども引き継いでください。
作業工程よりも仕事の成果に目を向けてもらうこと
引継ぎ書を作る目的は、スムーズに仕事を引き継いでもらい、仕事をストップさせないということです。
目的が達成できるなら、やり方自体は後任者のやりたいようにやってもらっても構わないわけです。
引継ぎ書を作るときに、どうしても作業項目だけに目が行きがちなのですが、最終的にどんな成果物が必要なのか、仕事の目的を考えてもらうような引継ぎ書を作りましょう。
そのためには、最初に、「この仕事の目的は」という項目を作って、何のためにこの仕事をするのか、きちんと理解してから作業に入るようにしてもらうと良いでしょう。
仕事の引き継ぎを機にマニュアルを見直すいいチャンス!
引き継ぐ業務は別に新しい仕事ではないのに、どうして毎回引き継ぎなんてしなければいけないのでしょうか?
あなたもきっと、前任者から引き継いだと思うのですが、そもそもしっかりしたマニュアルがあれば、あとは担当者が感じたことや気づいたことを伝えればいいだけです。
業務そのものについては、マニュアルを見てもらえばいいので、引継の手間は大きく減らせるはずです。
もし今、使えるマニュアルがないのなら、あなたの引継書がそのままマニュアルになるように、誰が読んでもわかりやすいものを作ってみましょう。
ついでに、
- もっと効率よくできないか
- 被っている無駄な仕事はないか
など、改善点がないかも考えてみます。
自分が仕事をしていて感じたことを振り返り、もっとやりやすい方法などを提案できたら、後任者も助かります。
一度きちんとしたマニュアルを作れば、あとは引き継ぎではなく、マニュアルのメンテナンスを定期的にすることで、引継の手間を省けるでしょう。
まとめ:仕事の引き継ぎは順を追って進めれば誰でもできる!
初めての引き継ぎでも、手順さえわかれば大丈夫。
仕事の分類をしてスケジュールを立てること方やってみてください。
一つ一つ丁寧に進めていけば、きちんとした引き継ぎ書ができるでしょう。
自分の持っている仕事を整理していると、意外と無駄なことをやっているなと気づくこともあると思います。
そんな時は、感じたことを書き込み、マニュアル化してしまいましょう。
一度きちんとしたマニュアルを作ってしまえば、残る人たちも助かります。
一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。