発達障害は仕事ができない?
いえ、そんなことはありません。
仕事でミスを連発したり、周りの人とうまくコミュニケーションが取れずに、自分は発達障害だから仕事がうま行くかないのではと悩んでいるかもしれませんが、それは自分の特性と合っていない仕事をしているからではないでしょうか?
発達障害には種類がありますし、それぞれ特性があります。
その特性と合っていない仕事についてしまうと、うまくいかないことが多いのです。
ということは、自分の特性に合った仕事を見つければいいということです。
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発達障害のタイプを理解して自分にあった仕事を探す
発達障害と一口にいっても、いくつかタイプがあります。
発達障害のタイプによって、得意・不得意が大きく違ってきますので、自分がどのタイプなのか、特性を把握することはとても大切です。
主に3つのタイプがありますが、厳密に分けることができない場合もありますし、人によっては3つのタイプが少しずつ重複していることもあります。
その場合は、どのタイプが一番強く出ているか、と考えると良いでしょう。
ASD(自閉症スペクトラム)の人は意思の疎通が苦手
ASDの人は、業務処理能力には特に問題がないことが多いのですが、人と関わること、円滑なコミュニケーションといったことが苦手です。
特に、日本社会で重視される、空気を読むということは苦手で、その場の空気を察して行動するということは難しいのです。
また、言葉の裏に隠されている本心だとか、質問の意図だとか、明確に言われていないことを推し量るということも苦手です。
自分のやり方に強いこだわりを持っていることが多いため、人に違うやり方を指示されたり、興味のない仕事をさせられることが非常に苦痛に感じます。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人は整理が苦手
ADHDの人は注意力に難点があり、落ち着きがないという特徴があります。
また、整理整頓も苦手なことが多いです。
机の上が散らかっていることが多く、また、スケジュールの管理なども苦手なので、ダブルブッキングをしてしまうこともあります。
また、待つことが苦手なので、考えるよりも先に行動してしまい、失敗してしまうことがあります。
LD(学習障害)の人は苦手が複数
LDの中でも、
読む
書く
話す
聞く
計算する
など、何が不得意かで、特性は変わってくるでしょう。
文字を読むことが苦手だと、資料を渡されても内容が理解できませんし、聞く能力に難があると口で説明されても話を追っていくことができず、話のわからない人だと思われてしまいます。
LD=勉強ができないということではないのですが、世間の認知度はまだまだ低く、誤解を受けてしまうことも多いです。
1つだけでなく、複数のことが苦手な場合もありますので、自分が苦手な分野をきちんと把握しておくことが大切です。
発達障害の人に向いてる仕事
発達障害は、症状が重なっている場合もあるので、一概に「この仕事がいい」とも言い切れない部分があります。
ですので、自分の中で、一番強く出ていると感じる症状に適した仕事を選ぶと、働きやすくなるでしょう。
ASDに向いているのは自分のペースでできる仕事
人とコミュニケーションを取るのが苦手なASDの人は、コミュニケーションを頻繁に取らなくても進めていける仕事が向いています。
- プログラマー
- エンジニア
- デザイナー
- イラストレーター
など、集中してできる仕事です。
また、工場のライン作業など、決められた手順でひたすら作業を続けるという仕事も向いています。
ADHDは自分の裁量でできる仕事
ADHDの中でも、物忘れなど不注意の傾向がある人と、落ち着きがないなど多動性の傾向がある人がいますが、どちらもマルチタスクはミスが増える原因になりますので、一つのことに集中できる仕事が向いています。
ASDの人と同じく、
- イラストレーター
- プログラマー
- エンジニア
などの、自分の裁量で進められる仕事ですと、活躍できるでしょう。
集中できるといっても、多動性の人は長時間同じことをするのは苦手なので、気が散っても大丈夫な仕事がいいでしょう。
長時間のデスクワークは非常に苦手ですが、1日外回りをしている営業職などは苦にならないことが多いです。
また、各地に取材に行くジャーナリストやライターといった仕事も向いているでしょう。
LDは特性に応じた仕事ができれば大丈夫
LDの人は、読み書き等の特定の能力が欠けているだけで、勉強が苦手というとは違います。
知的能力には何ら問題はないのです。
そういった意味では、できない仕事というのはありませんから、自分がやりたいと思う仕事にチャレンジできます。
文字の読み書き、話を聞くという苦手なことをしないで済む仕事としては、職人のように自分の手で物を作る仕事やカメラマン、彫刻家などクリエイティブな仕事も向いています。
特性を知っていれば大丈夫!発達障害の人のための仕事術
発達障害であることを隠すのではなく、周囲に理解してもらい、自分ができることとできないことをはっきりさせておくと、仕事がしやすくなります。
自分の特性を理解してもらう
発達障害だから仕事ができないのではなく、発達障害なので、できることとできないことに著しい差がある、ということを理解してもらえるよう、周囲と話すことが大切です。
発達障害でない人はなぜできないのかがわかりませんので、自分の特性による得意・不得意をきちんと説明して、お互いに仕事がしやすくなるよう、理解を求めるようにしてみましょう。
具体的かつ明確に指示をしてもらう
コミュニケーションや空気を読むことが苦手なASDの人は、曖昧な表現では何を指示されているのかが、的確に理解できません。
- いい感じでやっておいて
- だいたいでいいよ
- 適当、適量、適宜
このように、自分に丸投げされても、判断に困るでしょう。
そこで、「この部分については具体的に指示をいただけますか?」とわからないことをそのままにせず、小さいことでも確認することが大切です。
指示を一つ一つ、自分がわかるまで確認すれば、間違いを減らせます。
シングルタスクにする
整理整頓が苦手なADHDの人は、一度にたくさんの仕事が降ってくると、何からやったらいいかわからなくなって、あれこれ手をつけた結果、間違いが多くなるということがあります。
そこで、一度にやるのは一つだけ、という習慣をつけましょう。
まず、今抱えている仕事をリスト化して、目に見えるようにします。
そして、○時から○時まではこの仕事、というように、手をつける順番を決めてから、仕事に取り掛かりましょう。
そうすれば、何をやっているのかわからなくなるという事態は防げます。
1日に1回、例えば退社前に、「明日はこの順番でやろう」と、仕事を整理する時間を決めておくと、翌日の仕事がスムーズに進みます。
自分がわかりやすいコミュニケーション法を取り入れてもらう
コミュニケーションは相手がいることですので、自分が理解しやすい説明の方法を取り入れてもらうよう、お願いする必要があります。
LDの人は、自分が不得意な分野をどうカバーするかを考えます。
聞くのが苦手な人は、話を文章や図にしてもらい、内容が理解できるようにします。
これは、ASDの人にも有効な方法で、曖昧な表現ではなく、具体的に図にしてもらうことで理解しやすくなります。
また、文字を読むのが苦手な人は、口頭で説明してもらった方が早いです。
どうやってやりとりすることが最もわかりやすいのか、上司や同僚とよく話し合い、うまく意思の疎通ができる方法を探っていきましょう。
スマホアプリや電子機器を上手に使おう!
苦手なことを電子機器に補ってもらうということもできます。
スケジュール管理が苦手なADHDの人は、スマホのアラームを利用して、次の予定の時刻を知らせてもらうようにすれば、慌てることも少なくなるでしょう。
文字を読むことが苦手なら、音声読み上げソフトを使うと便利です。
また、聞くことが苦手な人は、ミーティングの内容などを録音しておき、Googleドキュメントの音声入力を使うと、簡単に文字起こしができますので、話の内容を文字で確認することもできるようになります。
このように、自分が不得意なことを代わりにやってくれるアプリや電子機器を使えば、もっと仕事がスムーズに進められるようになるでしょう。
まとめ:発達障害=仕事ができない、じゃない!特性に応じた仕事を選ぼう
発達障害は、できることとできないことがはっきりしていることが多いです。
ということは、できないこと、苦手なことを避け、自分の特性を活かせるような仕事を選べば良いのではないでしょうか?
今まで仕事ができないと自信をなくしてしまっていた人も多いと思うのですが、それは自分の特性では苦手な仕事をしていただけでしょう。
発達障害だから仕事ができないのではありません。
発達障害の症状に応じて、できること、得意な分野を探していけば、きっとあなたに合った仕事が見つかるはずです。
自信を持って仕事を続けていけるよう、まずは自分の特性をよく理解して、仕事探しをしていきましょう!
一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。