自分らしさを仕事の中で発揮できることは、働く者としては目指したい素敵な姿の一つです。
“自分らしくいられる状態”をイメージしたとき、多くの人がストレスフリーなポジティブな感覚を覚えるでしょう。
このように、自分らしくいることは気持ちよく働くための必須条件とも言えますが、同時に実現することが難しい状態でもあります。
どうすれば自分らしく働けるのか?今回はそんな問いへの答えを探ります。
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「仕事における自分らしさ」の調査からわかること
まずは、世の中の働き手が自分らしさについてどのように感じているのかを見てみましょう。
ここに300名以上の企業で正社員として働く20〜50代537人に「自分らしさ」について調べた調査結果があります。
一般社員(264人)の回答として、注目すべき結果をチェックしていきます。
職場で自分らしく振る舞いたいと思うか?
- とてもあてはまる :17.4%
- あてはまる :37.5%
- ややあてはまる :33.0%
- ややあてはまらない :7.6%
- あてはまらない :2.7%
- まったくあてはまらない :1.9%
最も多かったのは「あてはまる」と答えた人。
同じくらいの量で「ややあてはまる」と答える人も存在し、「とてもあてはまる」を含めると実に
9割近くの人が職場で自分らしく振る舞いたいと感じている
結果になりました。
一般社員として日本で働くほとんどの人が、自分らしく働きたいと感じでいるわけです。
自分らしく働くことにネガティブなイメージを持つ人は少ないと考えられるので、こちらは頷ける結果となりました。
では、実際にどれくらいの人が自分らしく働けているのでしょうか?
今、職場で自分らしく振舞えていると思うか?
- とてもあてはまる :6.8%
- あてはまる :16.7%
- ややあてはまる :37.9%
- ややあてはまらない :16.3%
- あてはまらない :9.5%
- まったくあてはまらない :9.1%
- わからない :3.8%
とても〜ややの「あてはまる」を合計した結果が61.4%となりました。
自分らしく働けている人が過半数を超える結果となり、今の日本では「自分らしく働けている人がマジョリティ」ということになります。
一方で、4割近くの人が今の職場では自分らしさを発揮しにくいということもわかる結果に。
一体どうして人は、職場で自分らしくありたいと思うのでしょうか?
職場で自分らしくありたい理由は?
- 「そのほうが、ストレスが少なく楽だから」 :59.1%
- 「そのほうが、仕事への意欲が高くなるから」 :37.9%
- 「職場は、自分にとって大切なコミュニティだから」:25.4%
- 「仕事を通じて、自己実現をしたいと思っているから」:20.7%
最も多かったのは、ストレスが少なくなるという理由。
これは頷ける人が多いのではないでしょうか?
自分らしくいられることは何かに抑圧されることなく、自分の素で振る舞えるということなので、必然的にストレスが軽減され快適です。
その結果、仕事がしやすくなり4割近い人が答えた「仕事への意欲が高くなる」という結果に繋がるのでしょう。
自分らしくいるコツとは?
先ほどご紹介した調査からは、自分らしくいるヒントとなるような結果も見受けられました。
調査結果から
職場で「自分らしい」と感じる理由とは?
- 「本音や気持ちを素直に伝えることができているから」 :33.3%
- 「自分の力や強みを発揮できているから」 :30.2%
- 「組織の中で自分の役割・立場が尊重されていると感じるから」:27.2%
- 「やりがいのある仕事に取り組めているから」 :22.8%
- 「職場で、周囲からどうみられるかを気にせずに、ありのままの自分で居られる安心感があるから」 :21.0%
上位にきたのは、「素直に発言できること」や「自分の力や強みを発揮できること」と、自分らしく職場に存在できかつ仕事に自分の個性が発揮できていると感じられることが職場で自分らしくいられる秘訣であることがわかります。
一方で、自分の役割や立場が尊重されていたり、やりがいのある仕事ができていること、また素の自分でいていい安心感がある場合にも、職場で自分らしくいられると感じられる人がいるようです。
さらに、調査だけではわからない実践的な視点からも仕事で自分らしくいるコツを探ってみましょう。
実践者の意見から
池上彰さん(ジャーナリスト)の場合
テレビで見ない日はないほど、世間の人気者となった池上彰さん。
意外にも自分らしく働きたいと考えたことは一度もないと言います。
NHKの記者として経験を積んでいた若い頃から心がけていたことが「興味のあることを追い続け、人と同じことをしない。
人が知らない特ダネを書き、誰も発想しないようなユニークなリポートをする」ということ。
これが自然と自分らしい働き方の実現になったと感じているそうです。
そんな池上さんが考える働く上で心に留めておきたいポイントは、以下の3つ。
- 「こうあらねばならない」という思い込みをやめ、自分を追い込まないようにする
- 自分の仕事の意味を見いだすと、仕事は断然面白くなる
- 働いてお金をもらうのは大変なこと。楽な仕事はなかなかない
鈴木秀子さん(文学博士・シスター)の場合
鈴木さんはシスターとしての活動以外にも国内外の大学で教鞭をとり、講演会やワークショップでも様々な指導をおこなっている女性です。
その活動は60年を超えています。
鈴木さんは若い頃から勉強好きで、自分が学んだことを人に教えるのも好きだったと言います。
そんな自分の個性をわかっていたからこそ、大学院に通い文学の研究を行い、シスターとして神様の教えを伝える仕事に従事したのだとか。
鈴木さんも先述の池上さんと同様、“自分らしく働きたい”と意識したことはないそうで、自分の好きなことをとことん突き詰めていたら60年も続けられる仕事に出会えたと語っています。
そんな鈴木さんが自分らしく働くために伝えたいポイントは2つ。
①自己理解ができないと人は組織に潰されてしまう
「自分のことが一番わからない」という人は、“世間体”などの本当は重要ではないものに執着しているとい言います。
自分を深く理解していないと組織の中で意に沿わない仕事をしながら心身を潰されてしまいがち。
楽しめるはずの仕事が楽しくなります。
また、自己理解ができていないと自分の人生を心から満足できず、自分を騙し騙し生きていくことになるのだとか。
②考えているだけでは“自分らしさ”は見えてこない
大事なのは、頭で考えるだけではなく自分の好きなものや幸せを感じる瞬間のことをひたすら書き出してみること。
自分が好きだと思うことやものを100個書いてみると、自分の傾向が見えてくると言います。
他にも自分が普段、お金と時間をかけているものを書き出してみると、自己理解を深める助けになると言います。
自分の軸が見つかれば、それが人生を豊かにしてくれるものと言えるでしょう。
自分の興味をそそることに貪欲に、時には自己理解を深める時間を作る
仕事で自分の意見を自由に述べたり、自分の個性を武器に仕事をしたり。
自分らしく働くことはかっこいいし快適なもの。
そんな風に生きている先輩たちの意見に耳を傾けると「自分らしく働きたいと考えたことはない」という人が多いです。
自分の興味がそそることに真っすぐと向き合い、貪欲に追い求めた結果にしか、自分らしい働き方は実現できないのかもしれません。
興味が湧くことがわからない時には、鈴木さんがご紹介されたような自己理解を深める方法を使って、自分と向き合う時間を作ることから始めることも、必要かもしれません。
調査データ:https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000606/
一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。