仕事の定義って、改めて考えてみるとどういうことなのか、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
仕事を定義するということは実はとても大切なことなのですが、日本の会社ではあまり重要視されていない気がします。
しかし定義づけをしっかりしておくと、仕事の質も向上しますし、やりがいも感じられて、仕事がきっと楽しくなります。
そこで今回は、仕事の定義とは何なのか、定義づけをするためにはどうすればいいのか、ということについてお話しします。
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仕事の定義はやるべきことを考えると見えてくる
仕事は成果を出すことが求められます。
成果を出すために何をすべきか、そのために仕事を定義づけする必要がありますが、求める成果によって仕事の定義は違ってきます。
しかし、いきなり「定義」と言われても、どう考えたらよいか迷うでしょう。そこで、
- 仕事の成果とはそもそも何か
- 成果を出すためにはどうすればいいのか
このような視点で、自分にとっての仕事の定義とはどういうものか、今自分が何をやるべきなのか?と考えてみると、答えが出てきそうです。
仕事の成果とはお客様に価値を与えること
仕事も労働も、結果としてお給料をもらいます。
対価を得るためにやっていることではありますが、対価が目的になっているか、それとも自分がやりたくてやっているのか、そこに大きな違いがあります。
自分が本当にやりたいと思うことに打ち込み、誇りを持って取り組める、そんな風に仕事ができるのが理想です。
そして、その仕事が誰かに価値を与えるのではないでしょうか?
その価値に対してお金がもらえるのが仕事なのです。
ですから、仕事の成果としてお客様にどのような価値を与えるのか、チームとしての目標を決めるのが仕事の定義の1つです。
個々の仕事の定義の違いで質も違ってくる
仕事で成果を出すためには、そこに至るプロセスがあり、個々の担当者がそれぞれ違う内容の仕事をしています。
しかし、内容が違っていても最終的にはどこに向かっているのか、みんなが同じ方向を向いていなくてはなりません。
そのためには、ただ言われたことをこなすのではなく、目標達成のために自分が何をすべきなのかを一人一人が定義する必要があります。
そうすると、自然と仕事の質が高まります。
言われたことを言われた通りにやれば、それなりの成果は出るかもしれません。
しかし、もう一つ上の、大きな成果に繋げようと思ったら、
- 仕事の生産性を上げるためにはどうすればいいか
- 大きな成果につなげるためにはどうすればいいか
そのような点について掘り下げ、自分なりの定義づけをして、それぞれが自分のやっている仕事の質を高めるための創意工夫をすることが必要です。
日本の会社では仕事が定義されていないところが多い
新人が入ってくると、最初に仕事を教えるためにマニュアルが完備されている会社もあるでしょう。
しかしそれは、作業のマニュアルであって、仕事の目的を教えるものではありません。
- この部署ではどのようなことをしているのか
- 担当者それぞれがどのような仕事を担っているのか
- それによってどのような成果が生み出せるのか
このようにして、仕事がはっきりと定義づけされている会社がどのくらいあるでしょうか。
おそらくあまりないと思います。
だから日本の会社人が育つのに時間がかかり、若い人がどんどん辞めてしまうのです。
仕事がつまらないのは定義づけができていないから
もしも今やっている仕事に価値が感じられなくなっているなら、それは仕事ではなく、単なる作業や労働になってしまっているからではないでしょうか。
仕事の定義づけがきちんとできていないと、やっていることの意味がわからないので、価値が感じられず、つまらなくなってしまうのです。
仕事=労働ではない
労働とは頭や体を動かして、命じられたタスクをこなすことです。
ただ言われたことを言われた通りにこなして、対価を得ているとしたら、それは仕事ではなく労働、作業なのです。
やりたくないけれど上司に言われたからやっているという状態では、やりがいも感じられていないですし、仕事に対するプライドも持てないでしょう。
例えば、一般事務の仕事で、何の定義づけもできていない人は、毎日ルーチンワークをこなせば良いと思っています。
営業職のように、はっきりと数字で示すことができない仕事だから、成果など関係ないと思っている人も多いのです。
しかし、自分なりの定義づけができている人は、
- 自分の仕事は周りの人のサポートをする素晴らしい仕事だ
- いかに無駄をなくすか、効率的に仕事をこなすかを考えるのは楽しい
- 自分が生産性を上げれば、部署全体の生産性に貢献できる
というように考えます。
直接、売上の数字などには反映されないかもしれないけれど、自分が縁の下の力持ちのような仕事をすることによって、周囲の人に貢献できると考えるのです。
事務職の人は仕事の成果が数字で見えにくいため、やりがいを見失いがちですが、ここは定義づけ次第なのです。
営業職の人が自分の仕事に打ち込めて、成績を上げられるのは、自分が裏方としての作業を一手に引き受けているからだ。
エクセルやワードのスキルアップをしてさらに仕事の効率化を進めることによって、チーム全体の生産性がアップし、それが売り上げ増にも繋がっているのだ。
そんな風に定義づけが出来ていれば、毎日の仕事が楽しくなりませんか?
仕事の定義は自分で決めよう
もし今の仕事にやりがいを感じられていないなら、それは仕事の定義づけがきちんとできていないからかもしれません。
やりがいは人から与えられるものではなく、自分で定義づけをすることによって生まれてくるものなのです。
要は考え方、捉え方次第で仕事は面白くも、つまらなくもなります。
こんな仕事はつまらないとか、自分に向いていないと思い始めると、いくらでも不満を探すことはできます。
しかしそれでは毎日がつまらなくなってしまいます。
仕事を面白くしたいなら、自分で「この仕事には意味があるのだ」という定義づけをしてみることです。
どんな意味を与えるかは、あなた次第です。
もう一度その仕事の定義を整理してみよう
仕事は上司から与えられるかもしれませんが、その仕事に対してどのような定義づけをするか、意味を与えるかは自分次第。
もう一度定義し直してみれば、仕事の楽しさがわかってくるでしょう。
それぞれの段階で定義がある
仕事には、様々な段階があります。
最終的な目標は共有しているとしても、それぞれの段階で関わる人が変わってきますから、その段階ごとに定義があることになります。
今自分がやっているのは、全体から見たときにどの段階に仕事なのか、自分の立ち位置を把握して、そこから意味を見出してみましょう。
企画やマーケティング部門にいるなら、
- 会社としてお客様の期待に応える商品は何か?
- この会社には何を期待されているのだろう?
など、お客様がどんなニーズを持っているのか、そのニーズを満たすものは何かを考えます。
営業職なら、できた新商品をお客様に実際に売りに行くわけですが、新しい商品がどのように役立つのか、お客様に伝えに行くわけです。
最終的にはお客様が必要とするものを売るという点で目標は一致していますが、ここの仕事の段階ではそれぞれ目的が違います。
どの段階なのかを意識すると、目的を明確化しやすくなります。
どのような成果を出すべきか定義する
何をどこまでやって、どのような成果を出すべきなのか。
そしてその成果は、誰にどんな価値を与えるものなのか。
売り上げの数値目標や営業成績の目標はあるでしょう。
しかし、その数字が誰に何を与えるのかは、考えられていないのが実情です。
例えば、「今月の売り上げ目標1億円」は、単に利益を上げるための数字に過ぎず、仕事の品質を定義することになっていません。
今ある商品をどう改良すればもっとお客様に満足してもらえるのか、どうやって売れば必要としている人のところに届くのか、それを考え抜いた結果が「売り上げ1億円」になるのであって、数字ありきではないはずです。
誰が何を必要としているのか、そのために自分たちができることはないかということを考えるのが「成果」を考えるということです。
そして、成果を出すために個々の仕事をしっかりと定義づけすることによって、初めて売り上げ目標が達成できるのです。
ゼロから考える大切さ
日本は「前例」が大好きです。
昔からやっていることを、何の疑いも持たずにそのまま引き継いでいることがたくさんあるのではないでしょうか?
しかし、時代はめまぐるしいスピードで変化しているのです。
「これは本当に必要なのか?」と仕事そのものを疑ってみることが必要です。
よく考えてみると、成果に直結しない無駄な仕事がいかに多いかがわかるでしょう。
- 上司に言われたから
- 先輩からそうするように教わったから
そんな理由で仕事をしていたら、新たな価値など生まれるはずがありません。
- もっと仕事の質を向上させるにはどうしたらいいか?
- この仕事はどんなことの役に立っているのか?
- 一人一人が誇りを持てるようにするにはどうすればいいか?
など、原点にかえってもう一度考え直してみると、本質的なことが見えてきます。
まとめ
仕事の定義に正解はありません。
一人一人が自分の仕事に誇りを持てるように、今目の前にある仕事に意味を与え、目的をはっきりさせることが大切なので、それぞれの仕事に定義があります。
ただ言われたことをこなすだけでなく、もう一度初心に返って、この仕事の意味は?目的は?と考えてみると、これまでとは違ったやりがいを感じられるようになるでしょう。
一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。