終身雇用制度が崩壊して、お給料も上がらない、そんな不安から仕事の掛け持ちをする人が増えています。
仕事の掛け持ち自体は別に悪いことではないですが、掛け持ちするならいくつか気をつけてほしい点があります。
また、税金や社会保険料についても、正しく手続きをする必要があるので、これから掛け持ちしようと思っている方は、基本的な知識を知っておいてください。
確定申告が必要になる?などお金に関する疑問についても解説します。
Contents
仕事の掛け持ちとはどんな状態?副業とは違うの?
複数の仕事を同時にするパターンがいくつかありますが、「掛け持ち」というのはどのような状態を指すのでしょうか。
また、会社勤めしている人でもできることなのか、仕事の掛け持ちの基本的なことについて説明します。
仕事の掛け持ちとはダブルワークのこと
2つ以上の仕事を持っていて、どれが本業と特定するのではなく、どれも同じくらいの割合で仕事をしている状態を掛け持ちといいます。
ダブルワーク、兼業と呼ぶこともあります。
同じ割合といっても、時間が均等ということではなくて、「片手間にやっていることではない」という意味だと思ってください。
例えば、平日はサラリーマンとして働き、週末は実家で農家の仕事をするなど、二刀流の働き方をしているような場合です。
副業は、あくまでもサブ的な働き方
掛け持ちに対して、本業とは明確な線引きができている時は「副業」ということが多いです。
例えば、サラリーマンが会社が終わった後に、インターネットを使って自分の趣味で描いたイラストを販売するような場合です。
あくまでも片手間にやっている仕事であり、かけている時間も短いですし、収入もそれほど多くはありません。
仕事の掛け持ちは正社員でもできる?
働き方改革によって、副業を認める企業も増えてきました。
しかし、本来私たちには職業選択の自由があり、どんな仕事をしても、どんな働き方をしても、誰かによって制約を受けるものではありません。
したがって、正社員であってもダブルワークをするのは自由です。
たとえ、就業規則に「ダブルワークや副業を禁止する」と書いてあっても、禁止することに合理的な理由がなければ、その規定自体が無効です。
ただし、正社員であれば、1日の大半を会社での仕事に費やすのが普通だと思います。
ですから、実際には掛け持ちというよりも、副業に近い形、あくまでもサブ的な働き方になるのではないでしょうか。
仕事の掛け持ちのメリット
では、仕事の掛け持ちをすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
- 収入が増える
- 人脈が広がる
- スキルがアップする
- 自分の新たな能力を開花できる
このようなことが考えられます。
特に、今のような先行きが不透明な世の中では、収入面での安心材料が増えることになるでしょう。
また、新たなスキルを磨くことは、将来転職を考えたときにも、大きなメリットになるに違いありません。
仕事の掛け持ちのデメリット
仕事の掛け持ちは、思っているよりも楽ではありません。
まず、物理的に時間が少なくなります。
休んでいる時の時間を仕事に充てることになるので、ゆっくりする時間が減るでしょう。
また、どのくらいの収入になるのかをよく把握しておく必要があります。
思ったよりも収入が上がった場合、所得税が高くなって手取りが減った、ということにもなりかねないからです。
会社員の仕事の掛け持ちで注意すべきこと
本業として会社員をしている人が、片手間の副業ではなく、仕事を掛け持ちしたいと思った場合に、注意してほしいことがいくつかあります。
本業をおろそかにしないこと
会社とは雇用契約を結んで、自分の業務を全うする約束をしています。
いくら、兼業や副業が自由だといっても、会社に損害を与えるようなことがあってはいけません。
先ほど、ダブルワークや副業を禁止する就業規則があっても無効だというお話をしました。
しかしそれは、あくまでも会社の仕事をきちんとしていた場合のことなのです。
週に1回とか、月に1回程度の仕事で、本業にはなんら迷惑をかけていないのであれば、就業規則を盾に社員を解雇することは違法だとされています。
しかし、
- 自社と競合する会社の仕事をしていた
- 本業をサボって他の仕事をしていた
このような場合には、「会社に損害を与える行為」として、解雇も妥当だという判例があります。
どんな働き方も自由ではあるけれど、会社に損害を与えないことが大前提であることを忘れないようにしてください。
念のため掛け持ちOKか確認すると安心
それでも、会社に仕事の掛け持ちが知られた時に、何か不利益なことがあるのでは?と心配になる方もいると思います。
そんな時は、就業規則を確認したうえで、念のため、上司に相談してみることをおすすめします。
上司の中には、仕事の掛け持ちが違法でないことは知っていても、自分が知らないところでやっていたということを快く思わない人もいるからです。
法律的には認められているのだから、と割り切れない人は、隠していることが精神的に負担となることもあります。
掛け持ちしていることを公表して仕事をした方がやりやすいでしょう。
税金や保険料はどうなる?仕事の掛け持ちとお金のこと
仕事の掛け持ちで気になるのが、社会保険や税金がどうなるのか?ということです。
税金も保険料も給料から天引きされていると思いますが、給料を2カ所以上からもらうことになったら加入はどうなるのか、確定申告はどうなるのか、などについてい解説します。
社会保険は働く時間などによって加入するかどうかが変わる
社会保険の加入条件は、労働時間や賃金によって変わります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 賃金が月額88,000円以上
- 1年以上継続して雇用されている(または見込み)
- 学生ではない
- 社会保険の対象となる従業員が501人以上の企業または500以下で労使協定を結んでいる場合
このような場合、厚生年金保険、健康保険、雇用保険、労災保険などに加入することになります。
掛け持ちの場合はどうなるかというと、労働時間によって変わります。
- 週に25時間+週に10時間=年金等は25時間の事業所で加入、労災保険は2カ所で加入
- 週に20時間+週に20時間=雇用保険、健康保険はどちらか一方で、厚生年金、労災保険は2カ所で加入
- 週に10時間+週に10時間=労災保険のみ加入
となります。
後から手続きをするのは非常に面倒なので、掛け持ちをするときには正直に申告をした方が良いです。
仕事の掛け持ちで所得が一定額を超えたら確定申告
正社員として働いていて、週末に違う仕事をしているような人は、一定の金額を超えたら確定申告が必要になります。
給与所得者は、給与以外の所得が20万円を超えたら確定申告をして、所得税を納税をしなくてはなりません。
ただし、交通費などの経費を除いて、20万円以下になった場合には不要です。
また、主婦で扶養に入っている場合には、103万円を超えると所得が扶養の範囲を超えてしまうため、所得税がかかります。
- 103万円ー給与所得控除65万円=38万円(扶養控除が受けられる所得額)
扶養の範囲内で働きたい人は、仕事を掛け持ちするときに、収入の合計が103万円を超えないようにするといいでしょう。
なお、令和2年以降は給与所得控除額が10万円引き下げられ55万円になるので、所得が48万円以下になれば配偶者控除が受けられます。
住民税の申告も忘れずに!
住民税は所得税と違い、所得金額にかかわらず申告が必要となります。
例えば、会社員が副業で25万円稼いだけれど、経費が8万円だった場合には、所得は17万円となり確定申告は不要となります。
しかし、住民税に関しては申告が必要になるので、給料から天引きする特別徴収ではなく、普通徴収に切り替えます。
確定申告ではなく、住んでいる自治体の窓口で申告書をもらうか、自治体のホームページから申告書をダウンロードして手続きをします。
まとめ
仕事の掛け持ちは、収入も増えますし、自分のスキルアップにもつながるので、どんどんチャレンジしていくと良いと思います。
これからは働き方もどんどん自由になっていくので、会社に頼らないで生きていく方法を見つけることにもつながるでしょう。
ただし、税金や保険などの手続きをお忘れなく!
一定の収入を超えたら確定申告もしっかりしていきましょう。
一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事
堀内 博文
1990年、高知県生まれ。
若手起業家、または起業を目指す 20 代を中心に、ビジネスでの結果を約束する Result Business Producer として活躍していたが、『自分の命の使い道』を『人を目覚めさせ本来の在るべき真の姿に導くこと』と定め、現在は一般社団法人 Mission Leaders Academy Japan 代表理事としてさらに活動の場を大きくしている。